ソフウェーブ:1回完結の超音波リフティングで本当にたるみは改善するのか――効果・痛み・ウルセラとの違いを臨床データで整理
By Dr. Lee1 min read

リフトアップ治療を調べていると、「ソフウェーブ」という名前に行き当たることが増えてきました。ウルセラやハイフ(HIFU)と同じ超音波系の施術ながら、「1回で終わる」「痛みが少ない」という説明がよく目につき、何がどう違うのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
ソフウェーブはイスラエルの医療機器メーカー、ソフウェーブ・メディカルが開発した超音波リフティング機器です。中核技術はSUPERBと呼ばれ、複数の超音波ビームを平行に照射して中間真皮層に熱を届ける方式です。同じ超音波でも一点に集中させるHIFU——ウルセラやシュリンクなど——とはビームの当て方も深さも異なります。この違いを理解すると、ソフウェーブの強みと限界がはっきり見えてきます。

ソフウェーブとはどんな施術か
ソフウェーブの最大の特徴は、エネルギーが届く深さにあります。複数の平行ビームが皮膚の中間真皮——深さ約1.5mmの層——に熱を集中させます。ここはコラーゲンやエラスチンを産生する線維芽細胞が豊富な層で、適切な熱刺激を与えると新たなコラーゲンと弾力線維の産生が促されます。
ウルセラとの決定的な違いがここにあります。ウルセラは深さ4.5mmのSMAS筋膜、つまりフェイスリフト手術で引き上げる筋膜層まで届きますが、ソフウェーブはそれより浅い中間真皮にとどまります。ですから、ソフウェーブは深い筋膜を引き上げて構造的にリフトアップする施術というより、肌そのもののハリと質感を整える施術に近いと考えてください。この点を知らずに強い引き上げ効果を期待すると、結果に戸惑うことになります。
ただし、浅い層だけを扱う分のメリットもあります。表皮をリアルタイムで冷却するシステムが内蔵されているためやけどのリスクが低く、超音波はメラニン色素に反応しないので肌の色を問わずすべての肌タイプに使えます。レーザー系治療では色素の濃い肌にやけどや色素沈着のリスクが生じやすいため、この点は大きな利点です。
米国FDAは2019年に細かいしわの改善から承認を開始し、その後、眉毛・フェイスライン・首のリフトアップ、さらにセルライトやニキビ跡改善へと段階的に適応を拡大してきました。複数の適応承認があるということは、それぞれに臨床データを提出して審査を通過したということでもあります。

どのように作用するのか
原理は熱です。ソフウェーブは7つの小型超音波振動子が同時に平行なビームを照射し、中間真皮の一層に小さな熱凝固帯を列状に形成します。このとき局所温度が60〜70℃まで上昇し、その部位のコラーゲン線維が即座に収縮します。表皮側は冷却によって保護されます。
施術直後のコラーゲン収縮は、変化のスタートにすぎません。熱刺激を受けた皮膚は創傷治癒と同じメカニズムで新たなコラーゲンとエラスチンの産生を開始し、通常4〜6週で変化が現れ始め、12週ごろにもっとも明確になります。施術当日よりも2〜3か月後に結果を確認する施術だということです。
表皮を削らない非侵襲的なアプローチなので、かさぶたや滲出液といった回復過程はありません。また、平行ビームで1層を均一にカバーする設計上、通常は1回の施術で必要なエネルギーを届けられます。繰り返し施術を前提とした他の超音波機器とは異なる点です。
ただし、「1回で終わる」ことは「効果が強い」ことを意味しません。浅い一層に効率よくエネルギーを届けるよう設計されているため1回で完結できるのであって、深部まで力強く引き上げるものとは概念が違います。たるみが顕著な場合は1回では不十分なこともあり、状態によっては2回を勧めることもあります。

実際に効果はあるのか
ソフウェーブは新興機器にしては自社臨床データが整っている方です。FDA承認の根拠となった研究を見ると、眉毛・首のリフトアップ適応の研究では80名中約80%が12週時点で改善を認め、しわ適応の研究では59名中86%が肌の弾力スコアで1段階以上の改善を示しました。マスクされた評価者が施術前後の写真を判別できたという結果も報告されています。
方向性は明確に前向きです。ただしこれらの研究は、ランダム化比較試験(RCT)ではなく1群の観察研究です。現在までソフウェーブ単独で発表されている研究のほとんどは数十名規模の単一群研究であり、RCTはまだありません。
規模は小さくても、複数の研究で似た結果が繰り返されることには意味があります。別の小規模研究でも施術部位の大部分が3か月・6か月時点で改善したと報告されており、36名を対象とした研究では60%以上で改善が確認されています。異なる研究チームが似た方向性の結果を出しているのは、偶然とは言い難い。
ソフウェーブの効果は「複数の小規模研究が一致して改善を示しているが、最高水準の根拠であるRCTはまだない」という段階として理解するのが正確です。効果がないということではなく、根拠の重みを過大評価せずに見ておこうという意味です。

皮膚の中で何が変わるのか
アンケートや写真評価とは別に、実際の皮膚組織が変化するかどうかを生検で確認した研究もあります。13名を対象に施術前後の皮膚組織を採取・比較したところ、弾力を担うエラスチンの密度が約33%増加し、この変化は統計的に有意でした。
同じ研究でコラーゲン密度も増加していましたが、その増加は統計的有意水準には達しませんでした。施術の広告では「コラーゲン再生」が前面に出ることが多いですが、少なくともこの生検研究で明確に確認されたのはエラスチンの変化です。何が検証されて何がまだ不明なのかを区別しておくことは大切です。
エラスチンは皮膚が伸びて元に戻る反発力を、コラーゲンは厚みとハリを主に担います。エラスチン増加が確認されたということは、たるんだ皮膚が再びしっかりする方向と一致しています。ただし「コラーゲンが劇的に増える」という表現は、このデータだけでは裏付けられません。
なお、この組織研究も13名と小規模で追跡期間は2か月と短い。別の研究では24週時点で皮膚が平均約2mm引き締まったという計測も報告されています。まとめると、ソフウェーブが皮膚内でエラスチン線維を増やすというシグナルは明確にありますが、その変化の大きさと持続性を断言するにはデータがさらに蓄積される必要があります。

満足度・痛み・効果の持続
実際に受けた方の体感はどうでしょうか。ある研究では1回施術後に「50%以上改善した」と回答した割合が患者側で92%、医師評価で85%でした。1回の施術でこの満足度が得られることがソフウェーブの訴求ポイントです。
痛みについては「ほぼ感じない」とは言い切れません。表面麻酔クリームのみで施術することが多いですが、研究で報告された痛みスコアは10点満点で5〜6点台でした。「まったく気にならない」というレベルではないということです。骨に近い部位ではより鋭く感じることがあるため、痛みに敏感な方は事前に担当医と相談しておくといいでしょう。ダウンタイムは施術後数時間から翌日程度の赤みが出る程度で、翌日から通常の生活に戻れる方がほとんどです。
効果の持続については、慎重に見る必要があります。広告では12〜18か月持続するとよく書かれていますが、査読付き論文で追跡されている期間は長くても6か月程度です。1年以上持続するという数字はエビデンスというよりメーカーと臨床現場の経験値に近い。老化は継続しますから、1回受けて終わりではなく、一定の間隔でメンテナンスを続けるという感覚が現実的です。コラーゲンやエラスチンを新しく作る力は年齢や肌の状態によって異なるため、同じ施術を受けても持続期間には個人差があります。日焼け止めと保湿といった基本的なスキンケアを続けることで、効果をできるだけ長く保つことができます。

ウルセラとの違いと、向いている方・向かない方
最もよく比較されるのがウルセラです。どちらも超音波を使いますが、作動の仕方が根本的に異なります。ウルセラは超音波を一点に集中させ、1.5mm・3.0mm・4.5mmと深さを変えながらSMAS筋膜まで届け、施術中は超音波エコー画像で層を確認しながらエネルギーを照射します。ソフウェーブは平行ビームで中間真皮の一層だけを扱い、エコー確認機能はありません。深いたるみを構造的に引き上げるにはSMAS層まで届く方が有利で、痛みとダウンタイムを抑えながら肌のハリと質感を整えるには浅い層を扱う方が負担が少ない。ただし、両機器を直接比較した臨床研究はなく、どちらが優れているかを断言できる根拠はありません。
広告の言葉は少し引いて読むのが賢明です。「1回で永続的な効果」や「ウルセラより強力」という表現はデータより先を走ったマーケティングです。1年以上持続するという断言、コラーゲンが大幅に増加するという断言も、現時点では確認されたエビデンスとはいえません。確認されているのはエラスチンの増加、短期的な改善傾向、そして1回完結という利便性です。この3点で期待値を調整しておくと、実際の結果と大きくずれません。
ソフウェーブが向いているのは、深いたるみよりも初期の弾力低下や細かいしわ、キメの乱れが気になる方、そして痛みとダウンタイムを最小限にしながら1回で完結させたい方です。逆に、輪郭が大きく崩れていて強いリフトアップが必要な場合は、SMAS層まで届く施術や外科的な方法の方が適切かもしれません。施術前に医師とたるみの程度や肌の状態を確認することで、ソフウェーブが自分に合った選択かどうか判断できます。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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