敏感肌の赤みが繰り返される理由、薄くなった肌バリアと過敏になった血管反応の仕組み
By Dr. Lee1 min read

洗顔のあとに頬がほてったり、少しの温度差で顔がすぐ赤くなったりする方がいます。化粧品を変えるたびにピリピリして、少しこすっただけでも跡が長く残ります。こうした赤みは、単に血色がよく見える赤さとは違います。肌の内側では実際に防御膜が薄くなり、血管が過敏に反応するという二つのことが同時に起きているのです。
赤みが繰り返されるのはなぜか?
敏感肌の赤みは、たいてい一つの原因ではなく二つの軸が絡み合って起こります。一つは肌の表面を覆うバリアが弱くなること、もう一つは肌の中の血管が刺激に対して過剰に反応することです。
この二つの軸は別々に存在しているわけではありません。バリアが弱くなると刺激物質が肌の中に入りやすくなり、その刺激が血管をより頻繁に刺激することになります。網戸に穴が開くと虫が入りやすくなるのと似ています。一つの穴が、内側の反応まで一緒に大きくしてしまうわけです。
肌バリアの役割と崩れたときに起こること
肌の一番外側の層には、角質細胞とその間を埋める脂質(セラミド、コレステロールのような油分)があります。この構造はよくレンガとセメントに例えられます。角質細胞がレンガなら脂質はその間を埋めるセメントで、両方がしっかり組み合わさることで水分が逃げず、外からの刺激も防げます。
敏感肌はこの脂質層がもともと薄い、あるいは頻繁な洗顔や角質ケアで脂質が洗い流されてしまっているケースが多くあります。セメントが不十分なレンガの壁を思い浮かべてください。レンガの間に隙間ができると風が入り水も漏れるように、脂質が不足した肌は水分を保持できず、刺激物質を内側に通してしまいます。
このようにバリアが薄くなった状態を、経表皮水分蒸散量(TEWL)が増えたと表現します。肌の中の水分が外へ逃げていく量が正常より多くなっているという意味です。水分が逃げる分だけ肌は乾燥して薄く感じられ、わずかな刺激にも神経の末端が反応しやすくなり、ピリピリとした痛みを感じます。
ここにフィラグリンというタンパク質も関わっています。フィラグリンは角質層で分解される過程で、肌自体の水分を保持する小さな断片を作り出します。スポンジの中の小さな粒が水分を含んでいるのと似た働きです。敏感肌はこのフィラグリンがもともと少ない、あるいは減りやすいケースが多く、脂質だけでなく水分を保持する力そのものも弱くなっていることがよくあります。
血管が敏感になる仕組み
バリアの問題だけでは赤みのすべてを説明できません。真皮の中の血管がどれだけ拡張しやすいかも重要な軸です。血管は温度が上がったり刺激物質が触れたりすると、神経と血管壁からさまざまな物質が分泌されて拡張します。血管が広がると、その中を流れる血液が肌の表面近くに透けて見えるため赤く現れます。
通常の肌ではこの拡張反応が起きてもすぐに元に戻ります。しかし敏感肌は血管を収縮させる神経の調節そのものが弱い、あるいは拡張を引き起こす物質に血管がより敏感に反応するといわれています。ブレーキの弱い自転車のように、一度広がった血管がなかなか狭まらない状態と考えるとわかりやすいでしょう。
この反応が繰り返されると、血管そのものが目に見えるほど広がってしまうこともあります。最初は刺激があるときだけ赤くなっていたのが、やがて刺激がなくてもうっすらとした赤みが残るようになるのはこのためです。
こうした状態が長く続くと、頬や鼻の周りに毛細血管のような細い赤い線が透けて見えることもあります。血管が広がったり狭まったりを繰り返すうちに、血管壁そのものの弾力が少しずつ落ちていくためだと説明されています。ここまで進むと保湿だけで元に戻すのは難しく、血管に直接働きかける治療が必要になることもあります。
赤みを悪化させる刺激とは?
日常で出会うさまざまな要因が、この二つの軸を同時に刺激します。なぜそうなるのか一つずつ見ていくと、ケアの方向が見えてきます。
- 熱いお湯での洗顔: 熱いお湯は脂質を溶かして洗い流す力が強く、バリアをより薄くします。同時に温度そのものが血管を拡張させ、二つの軸を一度に刺激します。
- 強い角質ケアと物理的な摩擦: スクラブや力を入れたクレンジングは角質細胞を削り取ってバリアを薄くし、摩擦で生じるわずかな熱が血管拡張を促します。
- 急激な温度変化: 寒い屋外から暖かい室内に入るときのように温度が急に変わると、血管が短時間で広がったり縮んだりを繰り返し、調節機能が疲れやすくなります。
- 紫外線: 紫外線は肌の中で炎症反応を起こして血管を拡張させ、長期的には血管壁そのものを弱くするといわれています。
- 辛い食べ物やお酒: カプサイシンやアルコールは血管を広げる神経反応を直接刺激し、一時的に顔がかっと熱くなる原因になります。
このリストに共通しているのは一つです。刺激がバリアを薄くするか、血管を広げるか、あるいはその両方に働きかけているということです。
バリアを満たす成分とケア方法
ケアの核心は、バリアを再び満たし、血管を刺激する要因を減らすことです。セラミドは肌の脂質の主成分と同じ構造をしているため、塗ることで隙間の空いたレンガの間を埋めるセメントのような役割を果たします。コレステロールと脂肪酸もセラミドと近い比率で一緒に含まれてこそ、バリアがきちんと再構成されるといわれています。
ナイアシンアミドは肌の中でセラミドのような脂質の合成を助けるとされ、バリア回復によく使われます。パンテノールは肌表面の水分を保持し、バリアが回復するあいだの乾燥を和らげます。ツボクサエキスは鎮静効果でよく知られていて、刺激で敏感になった肌の炎症反応を落ち着かせる助けになると報告されています。
ヒアルロン酸は自重の何倍もの水を抱え込む性質があり、バリアが満たされるまでの間、肌表面が乾かないように支える役割をします。ただしヒアルロン酸はセラミドより水分を引き寄せる力が強いため、乾燥して湿度の低い環境ではかえって肌の内側の水分まで引き寄せてしまい、表面がより乾いて感じられることがあります。そのため、ヒアルロン酸を塗ったあとは脂質成分でふたをする順番が一緒に勧められます。
洗顔にはぬるま湯を使い、洗顔時間を短くするのがよいでしょう。熱いお湯に長く触れる時間が減るほど、脂質が洗い流されにくくなるからです。角質ケアは刺激の少ない成分で最小限にとどめ、こする力も弱く保つほうが安全です。
どんなときに受診すべきか?
日常のケアで赤みがはっきり減らない場合や、赤い血管が網目状に透けて見える場合、ニキビのような吹き出物が一緒に繰り返される場合は、皮膚科の診察を受けたほうがよいでしょう。こうしたケースは単純な刺激性の赤みではなく、別の肌の状態が重なっている可能性があるためです。
受診しなくてもできることは、刺激要因を一つずつ減らしていくことです。洗顔の温度、摩擦、紫外線対策、この三つを変えるだけでもバリアと血管にかかる負担が一緒に減ります。二つの軸が絡み合っている以上、片方だけに気を配るより、両方を一緒にケアするほうが結果が安定します。
新しい化粧品を使うときは、一度に何種類も変えず、一つずつ試してみるのも助けになります。どの成分が刺激になっているのか見分けやすくなり、問題が起きても原因を早く見つけて外すことができるからです。
References
Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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