ホログラムで光を分割するPico Fractional、バタフライゾーンの毛穴とニキビ跡に効果はあるのか
By Dr. Lee1 min read

鏡の前で頬の内側、いわゆるバタフライゾーンをよく見ると、広がった毛穴と浅くくぼんだニキビ跡が一緒に目に入ります。トーニングやスキンブースターでは色みが薄くなるだけで、くぼんだ跡や開いた毛穴はそのまま残ることが多いものです。Pico Fractionalはまさにこの悩みを狙って生まれた施術です。色素を砕くために使われてきたpicosecondレーザーに特殊なレンズを取りつけ、ひとつの光を複数の方向に分けたうえで肌の中の小さな点にエネルギーを集中させる方式です。この点が治っていく過程でコラーゲンが新しく作られ、毛穴とニキビ跡が少しずつ埋まっていきます。ホログラムのような光学部品でどのように光を分けるのか、毛穴とニキビ跡は実際どれくらい良くなるのか、以下で一緒に見ていきましょう。

Pico Fractionalとは正確にどんな施術なのか
Pico Fractionalはpicosecond単位で光を放つpicosecondレーザーに、fractionalという分割方式を組み合わせた施術です。picosecondは1兆分の1秒という、人が感じ取れないほど短い瞬間です。この一瞬に強いエネルギーを一気に伝えると、熱が広がる間もなく色素や組織に物理的な衝撃が加わります。
ここに特殊なレンズを取りつけると、広がっていた光が複数の小さな点に集まります。それぞれの点にはエネルギーが強く集中し、点と点の間はそのまま手つかずで残ります。このように肌をきめ細かい点の単位で分けて刺激する方式をfractionalと呼びます。傷つかなかった周囲の肌が回復を助けるため、ダウンタイムが短くなるのが利点です。
集中した点の中ではLIOBという現象が起こります。強いエネルギーが一瞬にして集まることで、肌の中にごく小さな気泡のような空間ができるのです。この微細な損傷は熱で焼く方式とは違い、周囲に広がる熱が少なくて済みます。体はこの部分を埋めようとコラーゲンとエラスチンを新しく作り出します。その結果、広がった毛穴と浅くくぼんだニキビ跡が時間とともに少しずつ埋まっていきます。
つまりPico Fractionalは、色素を砕いていたpicosecondレーザーの力をレンズで細かく分けて肌の再生に振り向けた施術です。そのため入れ墨やシミよりも、毛穴やニキビ跡、肌質の改善に主に使われます。
ホログラム方式とマイクロレンズ方式は何が違うのか
光を複数の焦点に分ける方法は大きく2つに分かれます。ひとつは回折光学、もうひとつはマイクロレンズアレイです。下の表にまとめました。
| 方式 | 代表的なハンドピース | 焦点の作り方 |
|---|---|---|
| 回折光学(DOE) | PicoSure Focus | 光を複数の高エネルギー点に回折 |
| ホログラム | PicoWay Resolve | ホログラム板で格子状の焦点を作る |
| マイクロレンズ | PicoPlus, enlighten | 小さなレンズの配列で微細なビームを集中 |
回折光学は、光が微細な格子を通るときに複数の方向へ分かれる性質を利用します。PicoSureのFocusレンズがこの方式で、エネルギーの大部分をいくつかの強い点に集中させます。PicoWayのResolveはホログラム板を使い、規則的な格子状の焦点を作ります。どちらの方式も表面を広く焼くことなく、肌の中に点々とLIOBを起こすという共通点があります。
マイクロレンズ方式は、ごく小さな凸レンズを複数配列した部品で光を細かく集めます。PicoPlusやenlighten系で使われる方式で、きめ細かい微細ビームが肌の中の複数の地点にエネルギーを伝えます。どの方式でも目標は同じです。表面のダメージを最小限に抑えながら、肌の中に再生を呼び起こす小さな刺激点を作ることです。機器名よりも、どの波長にどのレンズを組み合わせているかのほうが結果を大きく左右します。

ナノ秒fractionalより色素沈着の負担は本当に少ないのか
fractional方式の色素レーザーにはナノ秒を使う機器もあります。ナノ秒はpicosecondよりも約1000倍長い時間にわたって光を放つ方式です。その間に熱が周囲の組織へ広がり、刺激も残りやすくなります。
picosecondは違います。熱が広がる間もなく、ごく短く強いエネルギーを一気に与えるため、熱よりも圧力に近い力で組織を刺激します。このように熱による刺激が少なく残るため、理論上は施術後の色素沈着といった副作用がナノ秒より少ないと考えられています。特にメラニンの多い色黒の肌では、この違いが大きな意味を持ちます。
ただし原理上の利点と実際の効果は分けて見る必要があります。picosecond fractionalとナノ秒fractionalを正面から比較した研究はまだ多くありません。これまで積み上がってきた根拠の大半はpicosecond方式そのものの効果と安全性を確かめたもので、両方式の優劣を断言するのは時期尚早です。
それでもアジア人の肌を対象にしたpicosecond fractionalの研究では、色素沈着が軽く一時的な程度にとどまったという報告が続いています。色素沈着のリスクを抑えたい場合、picosecond fractionalは合理的な選択肢になります。もちろん出力設定や施術者の経験、施術後のケアが結果を大きく左右する点は、どの方式でも変わりません。

バタフライゾーンの毛穴とニキビ跡にはどれくらい効果があるのか
複数の研究で確認された改善度を下の表にまとめました。
| 悩み | 機器の波長 | 確認された改善 |
|---|---|---|
| ニキビ跡 | 755nm | 3か月で瘢痕体積が約27%減少 |
| ニキビ跡 | 1064nm | 6か月で半数が50%以上改善 |
| バタフライゾーンの毛穴 | 1064nm | 6か月で体積が平均30%減少 |
まずニキビ跡です。755nmのpicosecondレーザーに回折レンズを取りつけた機器で顔の瘢痕を6回治療した研究では、立体撮影で測った瘢痕体積が平均24.3%減少し、3か月後にも27.2%の改善が維持されました。施術前後の組織を調べた結果、真皮のコラーゲンとエラスチンが実際に増えていたことも確認されています。原理が実際の再生につながっているという根拠といえます。
1064nm機器にマイクロレンズを取りつけた研究もあります。色黒の肌に該当する26人を治療した結果、6か月後に瘢痕体積が約10.78%減少し、参加者の半数は瘢痕が50%以上良くなったと評価しました。755nmより数値は低いものの、色素沈着のリスクが高い肌でも安全に使えることが確認された点が大きな意味を持ちます。
バタフライゾーンで特に気になる毛穴はどうでしょうか。同じ1064nm機器で広がった毛穴を3回治療した研究では、6か月後に毛穴体積が平均30%減少しました。参加者の28%は50%を超える改善が見られたと評価され、改善は施術直後よりも数か月かけて徐々にはっきりしてきました。一度で完成するのではなく、コラーゲンが満ちてくる時間をかけて結果につながる施術だということです。

施術後の色素沈着とダウンタイムはどの程度なのか
Pico Fractionalは表面を焼かない方式のため、回復は比較的早いほうです。それでも施術直後にはいくつかの反応が現れることがあります。
アジア人を対象にした研究で最も多かった反応は一時的な赤みで、参加者の約68%に見られました。腫れは約30%で見られ、数日以内に落ち着きました。痛みはおおむねないか軽い程度で、施術中にまったく痛みがなかったという回答が約61%でした。毛穴を扱った別の研究では、施術部位にニキビのような小さな発疹が出たケースが全体の14%でしたが、1日以内に自然に消えました。
最も気になる色素沈着はどうでしょうか。色黒の肌を対象にしたニキビ跡の研究では、全体の施術の約18%で軽い色素沈着が見られました。ただしすべて一時的なもので、平均4週間以内に消えました。毛穴を扱った研究では、色素沈着の報告はまったくありませんでした。熱で焼く方式より色素沈着の負担が少ないという原理が、実際の数値でも低い発生率につながっているといえます。
程度を抑えるには出力を無理に上げないことが大切です。色黒の肌ほど低い出力から始めて反応を見ながら調整し、施術後は強めの紫外線対策を続けることが色素沈着を防ぐ最も確実な方法です。
どんな肌に向いていて何を準備すればよいのか
Pico Fractionalがどんな悩みに向いていて、どう準備すればよいのかを下の表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 向いている悩み | 広がった毛穴、浅いニキビ跡、ざらついた肌質 |
| 必要な回数 | 4週間間隔で3回から6回 |
| 施術後 | 赤みが数日、強めの紫外線対策 |
| 注意点 | 色黒の肌は低出力から |
Pico Fractionalは、バタフライゾーンの広がった毛穴、浅くくぼんだニキビ跡、全体的にざらついた肌質を整えるのに向いています。反対に、非常に深いアイスピック型の瘢痕やニキビ跡が重度の場合は、この施術だけでは十分でないこともあるため、ほかの方法とあわせて計画するほうがよいでしょう。
一度で終わる施術ではありません。たいてい4週間間隔で3回から6回受け、コラーゲンが満ちてくる数か月の間に結果が徐々にはっきりしてきます。施術直後は赤みや軽い腫れが数日続くことがあるため、大事な予定の前には余裕を持って予約するのがよいでしょう。
何より紫外線対策が要になります。施術後の肌は刺激に敏感になり、色素沈着が起きやすい状態になります。外出時は日焼け止めをしっかり塗り、色黒の肌であれば低出力から始めて反応を見ながら調整するクリニックを選ぶのが安全です。カウンセリングの段階で自分の悩みが毛穴なのか瘢痕なのか、どんな波長とレンズを使う機器なのかをあわせて確認しておくと、結果への期待値を合わせやすくなります。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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