prettytime
Skincare

ミルクピールが乳酸の力で古い角質を優しく分解しながら刺激を抑える低刺激ピーリングの仕組み

By Dr. Kim1 min read

ピーリングと聞くと、ヒリヒリして肌が赤く浮くイメージを持つ人が少なくありません。ミルクピールは、そんな不安を和らげてくれるピーリングとしてよく紹介されます。名前のせいで牛乳を塗ってピーリングすると勘違いされることもありますが、実際の主役は乳酸という成分です。乳酸がどのように角質を整えながら刺激を抑えているのか、その仕組みを一つずつ見ていきます。

ミルクピールという名前の由来は?

ミルクピールという名前を聞くと、牛乳を肌に塗るものだと思いがちです。ですが実際に使われているのは牛乳そのものではなく、ラクティックアシッド(lactic acid、日本語では乳酸)という成分がピーリング剤の中心になっています。ラクティックアシッドという名称自体、ラテン語で牛乳を意味する言葉に由来しています。牛乳やヨーグルトが発酵する過程で自然にできる酸なので、この名前が付きました。

現在の施術で使われるミルクピール製剤は、実際の牛乳から抽出した成分ではなく、実験室で合成したラクティックアシッドを一定の濃度に精製したものがほとんどです。名前の由来は牛乳ですが、実際に働いている物質は純粋に精製された酸成分だと理解しておけば十分です。

乳酸が角質を溶かす仕組み

ラクティックアシッドはAHA(alpha hydroxy acid、アルファヒドロキシ酸。果物や発酵物から得られる酸の一種)に分類されます。肌の一番外側にある角質層は、死んだ角質細胞同士がしっかりとくっついた構造をしています。細胞と細胞の間をつなぎとめている接着剤のような役割を果たしているのが、細胞間脂質と結合タンパク質です。

ラクティックアシッドは、この結合を化学的に緩めて解きほぐす働きをします。酸性の成分が角質細胞同士の結びつきを弱めることで、本来なら自然に剥がれ落ちるはずの古い角質が、より剥がれやすくなります。レンガを積むときに使うセメントが古くなってポロポロと崩れると、レンガが一つひとつ簡単に抜け落ちるのと似たイメージです。

若い肌では、角質細胞がおよそ1ヶ月周期で新しく生まれ変わり、自然に剥がれ落ちるサイクルが保たれています。ところが加齢や乾燥が進むと、このサイクルが遅くなり、古い角質が表面に溜まりやすくなります。ラクティックアシッドは、こうして遅くなったサイクルを本来の速さに戻す方向に働くと説明されています。

なぜ他のピーリングより刺激が少ないのか?

ピーリング成分ごとに刺激の強さが違う理由の一つが、分子のサイズです。同じAHA系でも、グリコール酸は分子が小さいため肌の奥まで素早く深く入り込みます。一方、ラクティックアシッドは分子構造に側鎖が一つ余分に付いているため、相対的にサイズが大きくなっています。

分子が大きいと、肌のバリアを通り抜けるスピードが遅くなります。目の細かい網戸を思い浮かべると分かりやすいでしょう。小さな虫は簡単に通り抜けますが、体の大きな虫は引っかかってなかなか入ってこられません。ラクティックアシッドはこの網戸をゆっくりと、浅い深さまでしか通り抜けないため、角質層の表面付近を中心に働き、深い層まで急に刺激が及ぶことが少なくなります。

そのため同じ濃度でも、ラクティックアシッドによるピーリングはグリコール酸のピーリングに比べて、赤みが出たりヒリヒリしたりする反応が比較的穏やかだと言われています。

保湿効果まで一緒に得られる理由

ラクティックアシッドが低刺激ピーリングとしてよく挙げられるもう一つの理由が、保湿作用です。肌の角質層にはもともと天然保湿因子(NMF, natural moisturizing factor)という物質が存在しており、この天然保湿因子を構成する成分の一つがラクティックアシッドなのです。

つまりラクティックアシッドは肌にもともと存在している成分と同じ種類なので、角質を整えると同時に、肌内部の水分を抱え込む役割も果たします。角質を剥がす成分が水分まで引き寄せてくれるようなもので、ピーリング後によく起こるつっぱりや乾燥が、他の酸成分に比べて軽い傾向にあると説明されています。古い壁紙を剥がしながら、同時にその場所に保湿クリームを塗っていくようなイメージだと考えると分かりやすいでしょう。

一般的にピーリングというと、角質を落とす働きと水分を満たす働きが正反対の方向だと思われがちです。ですがラクティックアシッドは一つの分子が二つの役割を同時に担っているため、角質を整える間に肌が急激に乾いてしまう状況をある程度防いでくれます。

グリコール酸やサリチル酸との違い

AHA系の中ではグリコール酸が最もよく知られており、皮脂の多い肌にはサリチル酸のようなBHA(beta hydroxy acid、ベータヒドロキシ酸)成分もよく使われます。グリコール酸は分子が小さく浸透力が高いため角質を整えるスピードが速い一方、その分刺激も大きくなりやすい傾向があります。

サリチル酸は油に溶けやすい性質があり、毛穴の中の皮脂まで入り込めるのが特徴です。ニキビや黒ずみができやすい肌には有利ですが、もともと肌が薄い人や乾燥しやすい人には、かえって刺激になることもあります。

こうした成分と比べると、ラクティックアシッドは浸透スピードが穏やかで保湿作用も兼ね備えているため、角質を整える効果はしっかりありながら回復も早い部類に入ります。そのため、肌が薄い人や敏感な人、ピーリングが初めての人に、最初の一歩として勧められることが多くなっています。

相性が良い肌タイプ

ミルクピールが比較的相性の良い肌タイプは、次のように整理できます。

  • 肌が薄く敏感な人: 分子が大きく浅い深さまでしか働かないため、バリア機能が弱い肌でも急激な刺激反応が起きにくい傾向があります。
  • 乾燥してつっぱりやすい人: ラクティックアシッドそのものが天然保湿因子の成分なので、角質を整えながら水分を抱え込む方向にも働きます。
  • ピーリングが初めての人: 刺激が比較的少ないため、肌がピーリング自体にどう反応するかをまず確かめてみるのに無理のない選択とされています。
  • 色素沈着が浅い位置にある人: 角質層を中心に働くことで、滞った角質と一緒に浅い色素も落ちやすくなると言われています。

反対に皮脂の分泌が多く、毛穴の中の汚れが気になる肌なら、油に溶けやすく毛穴の奥まで入り込めるサリチル酸系の方が向いている場合もあります。

施術前後のケアで気をつけたいこと

低刺激だからといって、ケアを何もしなくて良いわけではありません。酸成分を塗る施術である以上、最低限の回復期間は必要です。

  • 施術当日と翌日は、いつもより丁寧に日焼け止めを塗り直す必要があります。角質が薄くなった部分は紫外線の影響を受けやすいためです。
  • 数日間はスクラブや他の酸成分の入った化粧品を併用しないほうが良いでしょう。角質を整える作用が重なると、想定より刺激が強く出ることがあるためです。
  • 施術後の赤みや軽いつっぱり感は1日から2日ほどで落ち着くことが多いと案内されていますが、回復のスピードには個人差があります。

こうした点さえ守れば、ミルクピールは回復の負担が少なく、継続して角質を整えていけるケア方法として活用できます。施術の間隔も無理に詰めすぎないほうが良いでしょう。角質層が再び満たされて整うまでには時間がかかるため、そのサイクルを守ってこそ、刺激を抑えながら効果を積み重ねていけます。

References

Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).

この記事は参考になりましたか?

About this article

診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

Read next

Back to articles