更年期の肌の乾燥とハリ低下の原因、コラーゲン減少とケアまで
By Dr. Kim1 min read

更年期に入ると、肌が以前と違うと感じる人は少なくありません。洗顔後すぐに肌がつっぱる、化粧のノリが悪くなる、なかった小じわが目立ち始める。こうした変化は単なる年齢による思い込みではなく、体内のホルモンが実際に減ることで肌の構造そのものが変わっていく反応です。
特に閉経の前後数年間は、この変化がとりわけ速く進みます。そしてその時期を過ぎても、ゆるやかにではありますが変化は続きます。なぜこうしたことが起こるのか、その仕組みを一つずつ見ていきましょう。
閉経前後の肌にはどんな変化が起きる?
更年期とは、卵巣の機能が徐々に低下し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減っていく時期を指します。一般的には閉経の前後数年間をまとめてこう呼びます。
この時期に肌でもっともよく見られる変化は、大きく四つあります。乾燥がひどくなること、弾力が落ちること、小じわやたるみが増えること、そして顔が赤くなりやすく敏感になることです。人によって変化が現れる順番や程度は多少違いますが、大きな流れはおおむね似ています。それぞれ別の悩みに見えても、実はすべてエストロゲンの減少という一つの原因から始まっています。しかもこの四つの変化は同時に来るのではなく、時間差を置いて連なる一つの流れに近いものです。どんな順序で、どんな仕組みでつながっているのか、次の項目から一つずつ整理していきます。
エストロゲンが減ると肌はなぜ変わる?
エストロゲンには、肌の中にある線維芽細胞(コラーゲンを作る細胞)を刺激し、コラーゲンとヒアルロン酸の生成を促す働きがあります。いわば肌という工場の現場監督のような存在です。監督がいる間は工場が安定して動きますが、監督が持ち場を離れると生産のペースが目に見えて落ちてしまいます。
肌の細胞表面にはエストロゲンと結合する受容体があり、エストロゲンがこの受容体にくっつくことで線維芽細胞が活発に動きます。ところが更年期になってエストロゲンの分泌量そのものが減ると、受容体は変わらず存在していても、結合する相手が足りなくなります。その結果、コラーゲンとヒアルロン酸が作られるスピードもそろって落ちていくのです。
さらに、傷ができたときに新しい皮膚が再生するスピード、つまり傷の治りの速さもエストロゲンの影響を受けます。若いころは小さな傷でも数日で治りますが、更年期以降は同じ傷でも治癒までにかかる時間が少し長くなる傾向があると報告されています。現場監督がいなくなった工場では、不良品が出ても修理の手が回るまでに時間がかかる、そんな状態に似ています。
閉経後、コラーゲンはどのくらい減る?
コラーゲンは肌を下から支える柱のようなたんぱく質です。柱がしっかりしていれば肌はたるまず、位置をキープできます。ところが更年期以降は、この柱が新しく作られるスピードよりも、古くなって失われるスピードのほうが速くなってしまいます。
複数の研究によると、閉経後は年間平均1%から2%ほど肌のコラーゲンが減少すると報告されています。そしてこのペースがもっとも速いのが閉経直後の5年間ほどで、この期間だけでコラーゲンが最大30%まで減ることがあるという報告もあります。エストロゲンが閉経のタイミングでもっとも急激に落ちるため、コラーゲンの生産ラインもその時期に合わせてもっとも大きく揺らぐわけです。その後はエストロゲンの数値が低い状態で落ち着き、減少のペースも少しずつゆるやかになっていきます。

更年期の乾燥がひどくなる原因
肌が乾燥しやすくなるのも、根っこは同じところにあります。肌の表面には水分を抱え込むヒアルロン酸と、レンガとレンガの間を埋めるセメントのように細胞と細胞を結びつけるセラミド(ceramide、肌のバリア機能を担う脂質成分)があります。エストロゲンが減ると、この二つを作る力も一緒に落ちてしまいます。
加えて、肌表面の油膜を作る皮脂の分泌量も、更年期以降は減っていく傾向があります。油膜が薄くなると肌の中の水分が外へ逃げていくスピード、つまり経皮水分蒸散量が増えてしまいます。壁のセメントが足りなくなり、隙間から水が漏れ出す状態をイメージすると分かりやすいでしょう。そのため更年期の肌は、以前よりつっぱりやすく、粉をふきやすいと感じるようになります。
エラスチンと表皮が薄くなる変化
弾力を担うもう一つのたんぱく質であるエラスチン(elastin、肌が伸びても元に戻ろうとする弾性繊維)も、コラーゲンと同じように更年期以降ゆるやかに減っていきます。コラーゲンが柱だとすれば、エラスチンはその柱を巻くゴムひものような存在です。ゴムひもが劣化すると、伸びたあと元の形に戻る力が弱くなります。
これに加えて、表皮(肌のいちばん外側の層)自体も少しずつ薄くなることが分かっています。層が薄くなると、その下にある血管や色素がより透けて見えるようになり、ちょっとした刺激でも顔が赤くなりやすく、敏感に反応しやすくなります。こうした理由から、更年期以降はそれまでなかった顔のほてりや赤みを同時に感じるケースも多く見られます。
- コラーゲンの減少: 肌を支える柱が減ることで、たるみや深いしわができやすくなります。
- エラスチンの減少: 伸びた肌が戻る力が弱まり、弾力が落ちます。
- 水分・バリア機能の低下: ヒアルロン酸とセラミドが減り、乾燥と敏感さが同時に現れます。
- 表皮の菲薄化: 血管が透けて見えやすくなり、刺激に反応しやすくなります。
更年期の肌はどうケアすればいい?
ケアの基本は、減ってしまったものを無理に元通りにしようとするのではなく、今残っているコラーゲンと水分を守りながら、新しく作られるスピードを少しでも助けることです。代表的に役立つとされている成分は次の通りです。
- retinol(レチノール): 肌の細胞にあるレチノイン酸受容体に働きかけて線維芽細胞を刺激し、コラーゲンが新しく作られるスピードを高めるとされています。
- niacinamide(ナイアシンアミド): セラミドなどバリア機能を担う脂質が作られる過程を助け、薄くなった肌のバリアを補強するのに使われます。
- hyaluronic acid(ヒアルロン酸): 自分で作る量が減った分を外から補い、水分を抱え込む役割を果たします。
- ceramide(セラミド): 不足したバリア脂質を直接補うことで、水分が逃げていくスピードを遅らせます。
これに加えて、紫外線対策は年齢に関係なく続けることが大切です。紫外線はただでさえ減っているコラーゲンをさらに速く分解してしまう刺激なので、更年期の肌にはむしろこれまで以上に気をつけたいポイントです。
乾燥やほてりが特にひどい場合は、ホルモン治療を検討する選択肢もあります。一部の研究では、ホルモン治療を受けた女性は肌のコラーゲン密度がより保たれやすいと報告されています。エストロゲンそのものを補う考え方なので理にかなった方法ではありますが、個人の健康状態や既往歴によってメリットとデメリットが変わるため、必ず婦人科の専門医と相談したうえで決めるのが安全です。変化が大きいと感じる場合や、顔のほてり、かゆみといった症状を伴う場合は、皮膚科での相談も併せておすすめします。

References
Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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