Juveacellの効果と仕組み:ヒト真皮ECMを直接補うスキンブースターはRituo・Celldermと何が違うか
By Dr. Kim1 min read

肌のハリが落ちてキメが荒れてくると、スキンブースターを調べ始める方が多くなります。最近クリニックでJuveacellという名前を耳にする機会が増えてきました。ヒトの皮膚から取り出した成分をそのまま注入して肌の構造を取り戻すと聞けば、気になる反面、似たように見えるRituo(Re2O)やCelldermと何が違うのか、どんな効果があるのか疑問に思う方も多いでしょう。
まず核心から言うと、JuveacellはRituo、Celldermと同じくヒト真皮の構造体をそのまま注入するECMブースターの仲間です。コラーゲン産生を刺激して待つ従来のブースターとは、根本的に発想が違います。完成した構造体を真皮に直接補うことで、肌の土台を固めるアプローチです。3つの最大の違いは濃度と容量で、Juveacellには少量に濃縮した8%製剤があるのが目を引くポイントです。仕組みと3製品の違い、効果がいつどのように現れるかを順に整理していきます。

Juveacellとはどんな施術か
JuveacellはVAIMという韓国の企業が開発したスキンブースターです。VAIMはコラーゲン刺激型注射のJuvelookを手がけた会社でもあります。Juveacellの核心は、成分を人工合成するのではなく、ドナーから提供されたヒトの皮膚から細胞だけを除去し、残った真皮構造体を細かく加工して注入するという点にあります。
少し詳しく説明すると、こういうことです。私たちの皮膚の真皮には、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸・フィブロネクチンといった成分が網の目のように絡み合い、肌を支える土台を形成しています。これを細胞外マトリックス、英語でECMと言います。Juveacellはこの完成した土台構造体をそのまま持ち込む方式です。細胞を除去する工程では超臨界二酸化炭素という方法を用い、界面活性剤を使わずに処理するため構造タンパク質のダメージが少ないとVAIMは説明しており、粒子サイズは平均70µmに調整されています。製剤は2種類あり、3%は1本にECM 30mg入りで肌全体のキメとコンディションを整える用途、8%は1本に80mg入りでより凹みが目立つ部位の密度を補う用途です。どちらも1ccのシリンジに充填された液状製剤なので、溶解の手間なくそのまま使えます。細い針で顔全体に100〜200か所ほど分けて注入するか、鈍針のカニューレで広く届けます。主な使用部位は、キメが荒れた頬、全体的にハリが落ちた顔、薄くなった目の下など、土台を整えたいところです。

Rituo・Celldermと何が違うか
Juveacellをきちんと理解するには、同じ系統の製品と並べて比べてみるのが早いです。RituoもCelldermも、Juveacellとまったく同じくヒト真皮構造体を注入するECMブースターで、大きな括りでは同じ仲間です。コラーゲン産生を刺激する仕組みのRejuranやJuvelookとは、そもそも系統が異なります。
では3つの違いは何か。ポイントは濃度と容量です。上のグラフのとおり、1ccに含まれるECMの量、つまり濃度を見ると、Juveacell 8%が1ccあたり80mgで最も濃く、Juveacell 3%とRituoは30mg、Celldermは32mgとほぼ同水準です。ところが1回の施術で使うECM総量で見ると話が変わります。Rituoは150mg、Celldermは160mgと、Juveacellより総量が多いのです。なぜかというと、Juveacellは1ccという少ない容量に濃縮されている一方で、RituoとCelldermは粉末を生理食塩水で溶いて5ccに希釈して広く使う仕様だからです。つまりJuveacellは少量に凝縮したタイプ、RituoとCelldermは希釈して広く使うタイプと整理できます。製剤形態も異なり、Juveacellはすぐ使える液状、残り2つは溶解して使う粉末型です。Juveacellは少量で狙った部位にしっかり届けたいときに、RituoやCelldermは広い面を均一に整えたいときに向いていると理解すると分かりやすいでしょう。ただし濃度が高いほど効果が強いと証明されたわけではないため、濃い1点だけで選ぶより、部位と目的に合わせて考えるほうが賢明です。

どんな効果を期待できるか
Juveacellの効果は、肌の土台を内側から固めていくところから生まれます。真皮に補われた構造体が単に場所を占めるだけでなく、肌の細胞がその足場に沿って入り込み、自分の組織として再構築されていくからです。
その過程でコラーゲンが増えていきます。上のグラフのように、同種の真皮構造体を注入したときのコラーゲン変化を見た動物実験では、I型コラーゲン密度が1か月の約53から6か月の約73へと着実に上昇しています。コラーゲンが充実すると肌に現れる変化はこういったものです。まず真皮の保水力が高まり、内側からふっくらとした潤いが戻ります。次に荒れていたキメが滑らかになり、毛穴が目立ちにくくなります。弾力が上がるにつれて浅い小じわが薄れ、薄くなって暗く見えていた目の下も土台が厚みを取り戻して、全体的に落ち着いた印象になります。全体として、何かを足したような人工的な変化ではなく、肌そのものが健康になったような自然なツヤとして現れるのが特徴です。ただし一点は頭に入れておいてください。Juveacellは注入直後にくぼみが埋まるフィラーではなく、数か月かけてゆっくり土台が固まっていく施術です。深い皺や大きなたるみを一気に引き上げるものとは性質が異なり、時間をかけてキメと弾力を全体的に底上げするのに向いています。

効果はいつ頃から現れるか
スキンブースターは効果が現れるタイミングを知っておかないと、期待値がずれてしまいます。Juveacellはすぐ充填する施術ではなく、時間をかけて土台を築く施術なので、なおさらそこが重要です。
同じ系統の臨床試験を見ると、おおよその流れがつかめます。顔を左右に分けて片側には真皮構造体を、もう片側には通常のヒアルロン酸を注入し、20名を24週間追跡した試験で、上のグラフのように効果は一度に来るのではなく段階的に現れました。肌の水分は8週目から先に改善し始め、毛穴は12週目から、弾力と密度は20週にかけてヒアルロン酸側より優位な変化を示しました。水分から始まり、キメ、弾力の順に時間をかけて整っていく流れです。施術を受けた直後に大きな変化を期待するより、2〜3か月を目安に同じ角度で写真を比べながら変化を確認していくスタンスが合っています。効果を長持ちさせるには1回で完結するよりも数回に分けて土台を積み重ねるのが一般的で、施術の合間に紫外線ケアと保湿といった基本的なスキンケアをセットで続けると、結果がより安定しやすくなります。なおこの試験で使われたのはJuveacellではなく同系統のRituoのため、流れの参考にしながらも、正確な変化の程度は個人差があると理解しておいてください。

根拠と副作用はどうか
効果の話をしたので、根拠についても簡単に触れておきます。上のグラフのとおり、同じECM系統の中でヒトを対象とした臨床試験があるのはRituoの1件のみで、JuveacellとCelldermにはまだ自社製品だけを見た臨床試験がありません。そのためJuveacellの効果を現時点で推測する根拠は、同系統のRituoの研究から借りてくる形になっています。ECMを補うという方向性自体には根拠がありますが、Juveacell固有のデータはまだ積み上げ中と考えてください。
副作用は概して軽い範囲です。よく見られるのは注入部位の赤みや腫れ、内出血、チクチクした感覚で、ほとんどが数日で落ち着きます。まれに注入箇所に硬結が触れたり感染が起きたりすることがあり、血管近くに誤って注入した場合は血管閉塞のリスクも理論上あります。ヒアルロン酸フィラーは問題が起きたとき溶解剤で対処できますが、Juveacellにはそういった元に戻す手段がない点は知っておく必要があります。最初から欲張らずに少量から始めることが安全につながりますし、特に濃度の高い8%はより慎重に扱うほうが賢明です。結局のところ、量と濃度を状態に合わせて調整する施術者の経験が、満足度を大きく左右します。

どんな方に向いているか
ではJuveacellはどんな方に合うのでしょうか。全体的にキメが荒れてハリが落ち、浅い小じわが出始めた方、そしてすぐにボリュームを出すより時間をかけて肌の土台を自然に整えたい方に向いています。化粧でカバーするより、肌そのもののコンディションを底上げしたいという場合にフィットする施術です。
反対に、深く刻まれた皺や大きなたるみを一気に引き上げたい方には、この施術単独では足りません。そういった場合はリフティングや輪郭施術、フィラーなど別のアプローチの方が合っており、Juveacellはその上にキメと弾力を加えるサポート役として組み合わせる形がよいでしょう。受けない方がよいケースもあります。妊娠中や授乳中の方、ヒト由来成分に過敏反応があった方、施術部位に炎症や感染がある方、自己免疫疾患のある方は注意が必要です。まとめると、Juveacellは一度に劇的な変化をもたらす施術ではなく、同系統の中で濃度の高い液状製剤という特性を活かして、時間をかけて肌の土台を整えていく施術です。部位と目的、そして施術者の経験に合わせて受けることが、最も満足度の高い結果につながります。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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