IPLとレーザーのシミと赤みでの違い、効果比較
By Dr. Lee1 min read

IPLはかつてシミ治療の代名詞でした。ところが最近の診療現場では、はっきりしたほくろや濃い色素には、ピコレーザーやQスイッチレーザーを先に勧めるケースが増えています。だからといってIPLが時代遅れの機器というわけではありません。色素という一つの物差しだけで見ると押されているように見えますが、IPLはもともと色素だけを狙う機器ではありませんでした。赤みや産毛、肌のキメまで一度にまとめてケアするのが本来の強みです。ですからIPLとレーザーは勝ち負けを競う関係ではなく、それぞれ得意な場所が違う道具だと考えるほうが正確です。ある悩みにはIPLが合い、別の悩みにはレーザーが合います。この記事では、IPLがどこで役割を譲り、どこでいまも先を行っているのかを一つずつ整理していきます。

IPLとレーザー、光の違い
IPLはintense pulsed lightの略語です。一つの波長だけを出すレーザーと違い、500~1200nmにわたる広い帯域の光を一度に照射します。この光が皮膚の中に入ると、メラニンとヘモグロビン、水を同時に刺激します。複数の標的を熱で温めて、色素と血管を一緒にケアする方式です。しかも前面に付けたフィルターで短い波長を取り除き、必要な帯域だけを残せるため、同じ機器でも設定次第で色素用と血管用に使い分けられます。
レーザーは性質が異なります。一つの波長だけに絞った精密な光なので、特定の標的だけを狙い撃ちします。色素なら色素、血管なら血管にエネルギーを集中させます。中でもピコレーザーは非常に短いパルスで、色素を焼くのではなく振動で細かく砕きます。熱が残りにくく、周囲の組織への負担が小さいのが特徴です。

分かりやすく例えると、IPLは部屋全体を温める広い照明です。レーザーは一つの色にだけ合わせたレーザーポインターです。ピコは色素を熱で焼くのではなく、揺らして砕くタイプです。このように光の使い方自体が違うため、それぞれの機器が得意なことも最初から分かれています。
シミにはIPLとレーザーのどちらがよい?
| 項目 | IPL | Qスイッチ | ピコ |
|---|---|---|---|
| 光 | 広帯域、複数標的 | 単一波長 | 単一波長・超短パルス |
| 深さ | 表面中心 | 表面・真皮 | 表面・真皮 |
| 色素の回数 | 3~5回 | 1~2回 | 大抵1回 |
| PIHリスク | 中程度 | 高い | 低い |
IPLは表面に浅くある色素にはかなり強い機器です。広い光がメラニンをまんべんなく温め、シミを薄くします。そのため顔全体に薄く広がったシミや、長年蓄積した光老化の色素には、今でもよく効くほうです。
問題は深さです。真皮側まで下がった色素には、IPLの光が十分に届きません。表にあるように、深い色素への反応は25%を下回ることが多く、同じ結果を出すには3回から5回まで回数を増やす必要があります。その分、時間と費用がかさんでいきます。
レーザーはこの点で優位です。単一波長で表面と真皮を同時に狙えるため、はっきりしたほくろを1、2回で整えられます。回数が少ない分管理も楽で、結果も予測しやすくなります。濃い色素を早く消したい方に、最近レーザーを先に勧める理由がここにあります。

ピコの色素への効果と色素沈着リスク
数字だけ見ればIPLも表面のシミにはよく効きます。良好から非常に良好と判定された割合は74.6~90%で、決して低くありません。ただピコは67.9~93%を、より少ない回数で安定して出します。1、2回のうちに良い結果が安定して現れる点が違います。
本当の差は色素沈着で分かれます。

施術後にかえって色が濃くなることをPIHと呼びます。ピコは約5%にとどまりますが、Qスイッチは約30%に達します。熱ダメージが少ないピコが、このリスクを大きく下げます。色素沈着が起きやすいアジア人の肌では、とりわけ価値のある差です。ちなみにこの比較はピコとQスイッチという二つのレーザーの間のもので、ピコが従来の色素用機器やIPLの立場をなぜ急速に押しのけたのかをよく示しています。
ただし、レーザーが色素で常に勝つと考えるのは単純化しすぎです。アジア人を対象にした半顔比較研究では、シミにおいてIPLがQスイッチアレキサンドライトをむしろ上回ったこともあります。逆にそばかすではレーザーのほうが良好でした。同じ色素でも種類によって答えが変わるということです。
IPLが得意な赤みと光老化の改善
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 光老化 | シミ・赤み・キメを一度に |
| 酒皶・赤み | 血管性の赤みを緩和 |
| 脱毛 | 産毛を減らす |
| ニキビ | 炎症を緩和 |
IPLの本当の強みは、複数の問題を一度にケアできることにあります。赤みと茶色いシミ、荒れたキメが入り混じった光老化肌にとりわけ向いています。広い光が一回の施術で複数の標的をまとめて刺激するためです。
数字もこれを裏付けます。酒皶による赤みでは、赤みが75%を超えて整った患者が69.5%に達します。光老化施術を5回行うと、赤い血管が70%、毛穴が67%、小じわが49.5%と、いずれも半分以上改善しました。ニキビの炎症性病変も約67%減りました。
つまりIPLは赤みと茶色い色素、肌のキメを一度の施術でまとめて整えます。色素だけを見ればレーザーに押されますが、複数の悩みが重なった顔全体を明るくする作業では、IPLに分があります。しかもダウンタイムが短く、施術後は軽い赤みが数日残る程度なので、忙しい日常でも負担が少ないこともIPLが長く愛される理由です。これがレーザーがそう簡単には代われないIPLの居場所です。
肝斑にIPLを使ってもよい?
| 注意点 | 理由 |
|---|---|
| 肝斑 | 熱刺激でかえって濃くなることがある |
| 色黒肌 | PIH・熱傷のリスク |
| 施術者依存 | 設定によって変数が多い |
| 深い色素 | 光が届きにくい |
肝斑はIPLの弱点が最もはっきり表れる場所です。肝斑の色素は熱に敏感で、IPLの熱がかえって色素細胞を刺激してしまうことがあります。施術直後は一時的に薄くなっても、しばらくすると逆に濃くなるリバウンドが現れることもあります。そのため肝斑には第一選択としてIPLは勧められません。
色黒の肌も注意が必要です。広い光が表面のメラニンをまんべんなく温めるため、色素沈着や熱傷のリスクも一緒に上がります。表に記したとおり、Fitzpatrick IVからVIに当たる肌トーンでは、エネルギー設定をかなり慎重に決める必要があります。
IPLは設定と施術者によって結果の幅が大きい機器でもあります。広い光を複数の標的に分けて使う分、エネルギーとフィルターの設定次第で同じ肌でも結果がかなり変わります。怖がらせるつもりはありませんが、肝斑であれば熱の少ない方法で近づきながら、紫外線対策と地道な維持管理を一緒に行うほうがずっと安全です。
自分の肌にはどちらが合う?
| 悩み | 合う選択 |
|---|---|
| 表面のシミ・光老化・赤み | IPL |
| はっきりした濃いほくろ | Qスイッチ・ピコ |
| 肝斑・色黒肌 | ピコ(維持管理を併用) |
| 産毛 | IPLまたは脱毛レーザー |
結局答えは標的と肌トーンによって変わります。顔全体に薄く広がったシミと赤み、光老化が悩みならIPLが向いています。複数の問題を一度にケアする強みがそのまま生きるためです。産毛も一緒に減らしたいなら、IPLか脱毛レーザーを考えられます。
逆に、はっきりした濃いほくろが一つ二つある場合はQスイッチやピコのほうが良いでしょう。少ない回数できれいに整い、結果も予測しやすくなります。肝斑や色黒肌であれば、熱の少ないピコを維持管理と一緒に進めるほうが安全です。
一つの機器がすべてを解決するわけではありません。そしてシミと赤み、肝斑が一つの顔に混在していることも多いため、実際にはIPLとレーザーを時期を分けて併用するほうが良い場合もあります。ですから施術名から選ぶより、まず相談で色素の原因と肌トーンを診断してもらう順番が正しいでしょう。診断がつけば、IPLとレーザーのどちらが自分の肌に合うのかは自然と見えてきます。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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