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水だけで洗い流す水洗顔が肌のバリア機能と水分膜を守るという保湿の原理、そして正しい洗顔の順番

By Dr. Kim1 min read

洗顔後に感じる肌のつっぱりを、保湿がきちんとできているサインだと思っている人は少なくありません。しかし、そのつっぱりは実は肌が水分を失いつつあるサインに近いものです。洗顔料で1日に2回顔を洗いながら、実は少しずつ肌のバリア機能を薄くしているのかもしれません。そこで最近注目されているのが、洗顔料をまったく使わず水だけで顔を洗う「水洗顔」です。肌の表面を覆う薄い皮脂膜と水分膜を壊さないように洗うこと自体が、保湿の出発点になるからです。どれだけ良い化粧品に変えても、洗顔の段階ですでにバリア機能が傷んでいれば、効果を十分に感じにくくなります。

水洗顔とはどんな洗顔法だろうか?

水洗顔とは文字通り、洗顔料や石けんを使わずぬるま湯だけで顔を洗う洗顔法です。朝は寝ている間に分泌された皮脂と汗を水で軽く洗い流し、夜はメイクを落とした後に残ったクレンジング料を水で仕上げに流す、という使い方をする人が多いようです。

水洗顔だからといって、必ずしも水だけしか使わないという意味ではありません。夜に濃いメイクや日焼け止めを落とすときは別途クレンジング料が必要で、そのあとの段階で水洗顔を取り入れるという組み合わせもよく見られます。ポイントは、洗う回数と洗浄力を控えめにして、肌にもともとある保護膜をできるだけ残しておくことにあります。

水洗顔は新しく登場した方法ではありません。以前から皮膚科では、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎などバリア機能が大きく傷んだ患者にやさしい洗顔を勧めるとき、すでに似た考え方が使われてきました。最近はこの考え方が一般的なスキンケアにも広がり、改めて注目されているだけともいえます。

肌のバリア機能と皮脂膜の役割

肌の一番外側にある角質層は、レンガとセメントの構造によくたとえられます。角質細胞がレンガだとすれば、その間を埋める脂質成分がセメントの役割を果たし、水分が逃げないように防いでいます。この脂質成分は、皮脂腺から出る皮脂と、角質細胞の間にあるセラミドのような物質が一緒になって作り出しています。

さらに肌の表面には、汗と皮脂が混ざった薄い膜がもう一枚かぶさっていて、これを皮脂膜と呼びます。皮脂膜は外部からの刺激を防ぐと同時に、水分が蒸発する速度を緩やかにするふたのような役割を持っています。このふたが薄くなると、肌の中の水分はそれだけ早く空気中へ逃げていきます。

角質細胞の中にはアミノ酸や尿素、乳酸のような成分も含まれていて、これらをまとめて天然保湿因子と呼びます。天然保湿因子はスポンジのように水分を抱え込む役割を果たすため、この成分が洗い流されると角質層自体が水を蓄える力も一緒に落ちてしまいます。

洗顔料が水分を奪う仕組み

洗顔料の洗浄力の多くは界面活性剤に由来します。界面活性剤は油と水を同時につかむ性質を持っていて、肌の汚れや老廃物を水と一緒に洗い流してくれます。問題は、この成分が老廃物だけを選んで取り除くわけではない点です。

肌を守っていた皮脂やセラミドまで一緒に洗い流されると、角質層のセメント構造にすき間ができます。このすき間から水分が急速に逃げていく現象を経皮水分蒸散量の増加と呼び、洗顔直後に肌がつっぱる感覚は、まさにこの現象が始まったサインです。洗浄力の強い洗顔料であるほど、そして洗う回数が多いほど、このすき間はより頻繁に開くことになります。

皮膚科ではこの経皮水分蒸散量を機器で直接測定することもあります。洗浄力の強い製品を使った直後は、この数値が一時的に大きく上がるケースが多く、これはバリア機能にできたすき間から水分がそれだけ速く逃げていることを意味します。このすき間が自然に閉じるまでには、通常数日かかるといわれています。

水洗顔で得られる保湿効果

水そのものには界面活性剤のような洗浄成分が含まれていないため、皮脂やセラミドを無理に引きはがすことはありません。代わりに、水に溶けやすい汗や軽いほこり程度だけが洗い流され、肌を覆っていた脂質の膜はかなりの部分がそのまま残ります。

そのため水洗顔をすると、洗顔直後でもつっぱる感覚が少ないと感じる人が多いようです。角質層のすき間があまり開かない分、水分が逃げる速度も自然と緩やかになるからです。特に季節の乾燥や頻繁なクレンジングですでに肌が敏感になっている場合は、洗浄の強さを落とすだけでも、肌が自力で水分を守る力を取り戻す時間を稼ぐことができます。

バリア機能が回復すると、そこから先は塗る保湿剤の効果もより実感しやすくなります。角質層のすき間が狭くなった状態では、保湿剤に含まれる水分や脂質成分が肌の中により長くとどまれるからです。逆にバリア機能に大きなすき間が開いたままだと、どれだけ良い保湿剤を塗ってもそれだけ早く蒸発してしまいます。

水洗顔が合う肌と合わない肌

水洗顔がすべての人に同じように役立つわけではありません。もともと肌が乾燥している人や、頻繁な洗顔や角質ケアでバリア機能が薄くなっている人は、洗浄の強さを落とすだけでつっぱりや刺激が目に見えて減るケースが多いようです。

一方で、皮脂の分泌が多い肌やニキビができやすい肌は事情が異なります。皮脂が毛穴の中に長くとどまると毛穴が詰まりやすく炎症も起きやすいため、こうした肌にはある程度の洗浄力がむしろ必要です。日焼け止めや濃いメイクをした日も、水だけでは油分がすべて落としきれないので、別のクレンジング料を併用したほうが安心です。

汗を多くかいた運動直後や、大気汚染がひどい日も水洗顔だけでは足りないことがあります。こうした場合は、朝晩どちらか一回だけ水洗顔に切り替え、もう一回はやさしいクレンジング料を使うといった折衷案が現実的です。

正しい水洗顔の方法

水洗顔を試すなら、いくつかの基本を押さえるだけでも効果を感じやすくなります。

  • お湯の温度はぬるめに: 熱いお湯は皮脂膜の脂質成分を溶かして洗い流す力が強く、洗顔料を使わなくても水だけでバリア機能を傷めてしまうことがあります。
  • こすらず包み込むように洗う: 手で強くこすると角質層に物理的な刺激が加わってバリア機能が弱くなりやすいため、水を顔にかけるように軽く洗い流すほうが良いでしょう。
  • 洗顔後3分以内に保湿剤をつける: 水洗顔の直後は肌表面の水分が時間とともにそのまま蒸発してしまうため、水気が乾く前に保湿剤をつけて水分を閉じ込める必要があります。
  • 夜はクレンジング料と併用する: 一日かけてたまった老廃物や日焼け止めまで水だけで落とすのは難しいため、夜の洗顔は軽いクレンジング料で仕上げ、水洗顔は朝だけに取り入れる方法も現実的な選択です。

水洗顔後のケアで気をつけたいことは何だろうか?

水洗顔は万能ではありません。数日試してみてかえって顔がテカったり吹き出物が増えたりするなら、皮脂の分泌が多い肌である可能性が高いので、無理に続ける必要はありません。

また、水洗顔をしているからといって保湿のステップを省いていいわけではありません。洗浄力を落とすことと水分を補うことはまったく別の過程なので、水洗顔のあともトナーやクリームといった保湿ケアはそのまま続けたほうが良いでしょう。それから、大気汚染がひどい日や日焼け止めを厚く塗った日は、水だけでは十分に落としきれないこともあるので、その日その日の肌とメイクの状態を見ながら洗顔方法を柔軟に変えるのが現実的です。

何より、数日で大きな変化を期待するよりも、最低でも1〜2週間は様子を見るほうが良いでしょう。角質層のバリア機能が回復するのにも、逆に皮脂がたまってトラブルが起きるのにも、ある程度の時間が必要だからです。その間、肌の状態を観察しながら自分に合った頻度を探っていくことが、水洗顔を上手に活用するコツです。

References

Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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