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ミノキシジルとフィナステリドはなぜ違う仕組みで薄毛を防ぎ、併用まで勧められるのか

By Dr. Lee1 min read

薄毛治療を調べると、ほぼ必ず2つの名前が出てきます。塗るミノキシジルと、飲むフィナステリドです。ただ、なぜ片方だけでなく2つを併用するよう勧められるのか、疑問に思う方が多いようです。

理由はシンプルです。この2つの薬はまったく違う問題を狙っているからです。ミノキシジルは毛包へ向かう血流を増やす方向で働き、フィナステリドは毛包を攻撃するホルモン信号を減らす方向で働きます。この違いを知ると、なぜ併用が勧められるのか、なぜ効果が一朝一夕には現れないのかも自然と理解できます。

ミノキシジルはもともと何の薬だったのか?

ミノキシジルは、最初から薄毛の薬として作られたわけではありません。もとは高血圧を下げるために開発された血管拡張薬でした。血管を広げて血圧を下げる薬だったのですが、服用した患者に、体のあちこちで毛が増えるという予想外の副作用が見られたのです。

この副作用を逆手に取ったのが、今の塗るミノキシジルです。血管を広げる力を頭皮だけに使おうという発想です。

ミノキシジルが頭皮の血流を増やす仕組みは?

毛包は、細い血管から酸素と栄養を受け取ることで髪を作り続けられます。ミノキシジルを頭皮に塗ると、血管壁にあるカリウムチャネルという小さな扉が開きます。この扉が開くと血管の筋肉が緩んで血管が広がり、その結果、毛包の周りに血液がより多く流れるようになります。

血流が増えるだけではありません。ミノキシジルは、毛包で新しい血管が育つのを助ける信号物質、血管内皮増殖因子の分泌も同時に増やします。既存の水道管を太くしながら、もう1本新しい水道管を引くようなものだとイメージすると分かりやすいでしょう。

髪は、伸びる時期の成長期と休む時期の休止期を繰り返します。薄毛が進むと成長期がだんだん短くなり、休止期の毛包が増えていくのですが、ミノキシジルは栄養供給が豊かになった毛包が休止期から成長期へより早く、より長くとどまるのを助けると考えられています。

ミノキシジルの効き方に個人差が出る理由は?

ミノキシジルを頭皮に塗ったからといって、その成分がすぐに働くわけではありません。皮膚の中でもう一段階変化を経て、初めて本来の力を発揮します。

頭皮の毛包にはスルホトランスフェラーゼという酵素があります。この酵素がミノキシジルを活性型のミノキシジル硫酸に変えることで、血管拡張効果が本格的に始まります。ミノキシジルが鍵だとすれば、この酵素はその鍵を実際に回す手のような存在です。

ところが、この酵素が毛包にどれだけあるかは人によって差が大きいのです。酵素が豊富な人は同じ量を塗っても活性型がたっぷり作られ、反応が早くはっきり現れます。逆に酵素が少ない人は、同じように根気よく塗り続けても実感が遅かったり弱かったりすることがあります。隣の人は8週間から12週間ですっかり変わったのに、自分はどうしてこんなに遅いのだろうという疑問の裏には、こうした個人差があると考えられています。

フィナステリドはどんな経路で薄毛を防ぐのか?

フィナステリドはミノキシジルとはまったく違う道を進みます。血流ではなく、ホルモン信号を狙う薬です。

男性型脱毛症の主な原因のひとつは、男性ホルモンであるテストステロンそのものではありません。正確には、テストステロンが体内の酵素によって変換されたジヒドロテストステロン、略してDHTという物質です。DHTはテストステロンよりも毛包の受容体にはるかに強く結合する性質を持っています。

このDHTが遺伝的に敏感な毛包に作用し続けると、毛包がだんだん小さくなる小型化、つまりミニチュア化が起こります。太く長く伸びていた髪が細く短い産毛のように変わり、やがて伸びなくなっていく過程です。

フィナステリドは、テストステロンをDHTに変える酵素である5α還元酵素を阻害します。この酵素を抑えると体内のDHT濃度がはっきり下がり、DHTが毛包を小型化し続ける圧力そのものが弱まります。鍵と鍵穴にたとえるなら、DHTという鍵を作る工場自体を止めてしまうやり方です。

フィナステリドの効果がつむじと生え際で違って感じられる理由は?

同じフィナステリドを飲んでいるのに、つむじは確実に良くなったけれど、生え際、つまりヘアラインはあまり変化を感じないという方がいます。

この違いは、毛包がある位置ごとにDHTの信号をどれだけ受け取りやすいか、つまりアンドロゲン受容体の発現量が異なるために生まれます。つむじの毛包と生え際の毛包は発生の過程で由来する起源自体が違い、遺伝的にDHTへ反応する程度も部位によって差があると考えられています。

一般に、つむじ側の毛包はDHT抑制効果により明確に反応する傾向が報告されており、生え際は比較的反応が遅かったり、変化の幅が小さかったりするケースが多いようです。そのため、つむじは良くなったのに生え際は変わらないという印象を受けやすいのですが、これは薬が効いていないのではなく、部位ごとの反応差である可能性が高いといえます。

なぜ片方は塗り、もう片方は飲むのか?

この違いも、2つの薬の作用の仕組みから来ています。

ミノキシジルは血管に局所的に作用すれば十分なので、頭皮に塗る方式が効率的です。全身の血管をわざわざ広げる必要はなく、頭皮だけに作用させれば全身の血圧への影響も抑えられます。

一方、DHTは血液に乗って全身をめぐるホルモンです。頭皮だけで局所的に酵素を止めても、体全体で作られるDHTの流れを十分には減らせません。そのため、フィナステリドは飲み薬として作られ、体内を循環しながら酵素の働きそのものを下げる方式が選ばれています。

では、フィナステリドもミノキシジルのように頭皮だけに塗ればいいのではと思う方もいるでしょう。実際、局所に塗るタイプのフィナステリド製剤も開発され使われています。ただ、全身を巡るDHT全体を減らす効果は飲み薬より限定的なため、現在も全身に作用する飲み薬が標準として定着しています。

2つの薬を併用するとなぜより効果的なのか?

ミノキシジルとフィナステリドを併用する理由を理解するには、薄毛が1つの原因ではなく、2つの問題が重なって進むという点をまず思い浮かべるとよいでしょう。

  • DHTが毛包を小型化させ続ける問題は、フィナステリドが担当します。原因そのものを減らすアプローチです。
  • すでに弱った毛包に栄養と酸素が足りない問題は、ミノキシジルが担当します。残っている毛包の働きを助けるアプローチです。
  • 2つの問題が同時に進んでいる状況で片方だけ手を打っても、もう片方の問題が進行の邪魔をし続けます。だからこそ、2つの経路を同時にケアすると相互に補い合う効果が報告されています。

つまり、フィナステリドが小型化の進行を遅らせている間に、ミノキシジルが残っている毛包をより活発にする構造です。それぞれ違う扉をたたくため、1種類の薬より2種類を併用したほうが良い結果につながったとする研究がいくつもあります。

効果が出るまでなぜこんなに時間がかかるのか?

どちらの薬も、塗ったり飲んだりを始めたからといって翌日から髪の量が増えるわけではありません。理由は、髪が育つ周期そのものがもともとゆっくりだからです。

1つの毛包が休止期から成長期へ移り、目に見えるほど髪が長く伸びるまでには最低でも12週間はかかります。薬がどれだけ早く作用しても、毛包1本1本が新しい周期を始めて結果を作り出すには、生物学的な時間が必要というわけです。そのため、たいてい3か月から6か月ほどは根気よく使い続けて初めて変化を実感できるといわれています。

普段健康な頭皮なら、毛包の大半が成長期にとどまり、一部だけが休止期に入っている構造で回っていると考えられています。ところが薄毛が進むとこのバランスが崩れ、休止期に入る毛包の割合がだんだん増えていきます。薬を使ってこのバランスを再び成長期側へ戻すには、すでに休止期に移った毛包が新しく成長期を始めて目に見えるほど伸びるまでの時間を、最初から改めて待つ必要があります。だからこそ、薬の効果は体の中ではすでに働いていても、外から実感できるまでには時差が生まれるのです。

初期に髪がむしろ余計に抜けるように感じる理由は?

ミノキシジルを始めた初期に、髪がいつもより多く抜けるように感じるケースはよくあります。これは副作用というより、薬がきちんと働いているサインに近いものです。

ミノキシジルが休止期にとどまっていた古い毛包を無理やり目覚めさせて成長期へ押し出すと、そこにあった古い髪が先に抜け落ち、新しい髪が伸びる場所を空けます。この過程で一時的に抜ける髪が増えたように見えるのです。この初期脱毛はたいてい2週間から6週間のうちに落ち着き、その後は新しく伸びた髪が場所を埋めていく流れにつながると報告されています。

References

Korean Dermatological Association, Ministry of Food and Drug Safety (MFDS), American Academy of Dermatology (AAD), and U.S. Food and Drug Administration (FDA).

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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