カミソリ負けで繰り返すブツブツ毛嚢炎、医療脱毛で本当に減らせるのか
By Dr. Lee1 min read

カミソリを当てる時間はほんの一瞬なのに、1〜3日後にはあごやすねに赤いブツブツがまた顔を出すことが少なくありません。こうしたトラブルが毎回繰り返されると、カミソリを持つこと自体がストレスになってきます。このブツブツの正体の多くは毛嚢炎と呼ばれるもので、毛が生えてくる小さな穴に起きる炎症です。
カミソリを当てる頻度が高い部位ほどこうしたトラブルが起きやすいため、毛量を減らせば刺激も減るのではと考えて医療脱毛を検討する方が増えています。フェイスラインや首、ワキ、すねのように毎日、あるいは2〜3日おきに剃る部位ほど、この悩みは深刻になりがちです。カミソリが毛包をどう刺激するのか、そしてレーザーが毛包にどう働きかけるのかを知れば、この期待に根拠があるのかどうかが見えてきます。
カミソリを使うとなぜ毎回ブツブツができるのか?
カミソリは肌の表面で毛を切り落とす道具です。問題は、刃が通過する瞬間に毛穴の入り口まで一緒に傷つけてしまう点にあります。毛穴は毛が一本生えてくる小さな通り道で、ここに微細な傷ができると細菌が入り込みやすい隙間ができてしまいます。
特に刃が古くなっていたり、同じ部位を3回以上繰り返し剃ったり、乾燥した肌にそのままカミソリを当てたりすると、この傷はできやすくなります。この隙間から皮膚の常在菌、よく知られているのは黄色ブドウ球菌のような菌が入り込んで炎症を起こすと、赤く盛り上がったブツブツ、つまり毛嚢炎になります。一度や二度なら気にならなくても、同じ部位を毎回剃っていれば、傷と炎症も毎回繰り返されることになります。
つまりカミソリを使うこと自体が、毛穴の入り口に微細な傷を繰り返しつける行為であり、その傷が炎症へとつながる通り道になっているわけです。同じ部位を剃り続けていると、毛穴が回復しきる前にまた刺激を受けてしまい、炎症が慢性化してしまうこともあります。
このとき肌の内側では、体が細菌を退治しようと白血球をその場所に集めています。白血球が集まる間は周囲の血管が広がって血流が増えるため、ブツブツが特に赤く見えたり、触るとほてったりするのです。つまり目に見えるブツブツは細菌そのものではなく、体が細菌と戦っている痕跡に近いといえます。
毛が肌の中に入り込む埋没毛はなぜ起きるのか?
カミソリで切られた毛の断面は、刃物で切ったように鋭くとがっています。特にくせ毛や太い毛は伸びる途中で向きが曲がりやすく、このとがった先端が肌の外に出られずに、そのまま肌の内側へ入り込んでしまうことがあります。これが埋没毛(ingrown hair)、いわゆる巻き込み毛です。
肌にとって、この入り込んだ毛は異物です。体は異物を押し出そうとその周りに炎症反応を起こし、これが外から見ると硬くて赤いブツブツのように見えます。ひどくなると化膿して小さな膿がたまることもあります。
毛がどれくらい曲がりやすいかは、毛包が肌に埋まっている角度によって変わります。毛包が肌に対して斜めに埋まっていると、その通り道に沿って伸びる毛も斜めに曲がりやすくなります。くせ毛の人に埋没毛が特に多いのも、そもそも毛包が寝るように斜めに埋まっていて、毛が曲がらざるを得ない構造になっているためです。
埋没毛は、くせ毛が多い部位、頻繁に剃る部位、そしてカミソリの後で角質が厚くなった部位でより起きやすいとされています。角質が厚いと毛が肌の表面を突き破って出てきにくくなるからです。そのため埋没毛と毛嚢炎は別々の問題ではなく、同じ原因から枝分かれした二つの結果に近いといえます。
繰り返す毛嚢炎を放っておいてはいけない理由?
- 色素沈着として残ることがあります。炎症が繰り返されると肌がその刺激に反応してメラニンを余分に作り出し、炎症が治まった後に黒ずみが残る炎症後色素沈着につながることがあります。
- 跡が瘢痕として固まることがあります。化膿するほど悪化した毛嚢炎が繰り返されると、その部分のコラーゲン、つまり肌を支える柱の役割をするたんぱく質の並びが乱れ、でこぼこした瘢痕が残る可能性があります。
- 肌のバリア機能が弱くなります。傷と炎症が繰り返される部位は角質層が健やかな状態を保ちにくくなり、ちょっとした刺激にも敏感に反応するようになります。
こうした理由から、毛嚢炎を剃るたびに起きる当たり前の出来事として片づけるより、繰り返す原因そのものを減らす方向で対策を考えるほうが賢明です。
医療脱毛はどうやって毛包を減らすのか?
医療脱毛の仕組みはシンプルです。毛包の中には毛を作り出す小さな根っこ、毛包幹細胞があり、この根っことその上に伸びた毛にはメラニン色素が含まれています。レーザーはこのメラニンに選択的に吸収される波長の光を照射し、瞬間的に熱を発生させます。
レーザーがあえてメラニンを標的にするのは理由があります。メラニンは黒に近い色素なので特定の波長の光をよく吸収する一方、その周りの何もない肌は比較的光を吸収しにくいのです。そのため同じ光を当てても、熱はメラニンが集中する毛包側にだけ集まり、隣の正常な肌は大きく熱くならずに済みます。この仕組みは選択的光熱分解と呼ばれ、簡単にいえば黒い標的だけを選んで焼くやり方です。
この熱が毛包の根元に伝わることで、毛を作り出す細胞の働きが落ちたり壊れたりします。たとえるなら、毛をずっと作り続けていた小さな工場の電源を一つずつ落としていくようなイメージです。工場が止まった毛包はもう太くて濃い毛を作れなくなり、作れたとしても細くて薄い産毛程度にとどまります。
この過程を6〜8回程度繰り返すことで、活動している毛包の数そのものが減り、残った毛包から生える毛も細くなっていきます。その結果、剃る必要のある毛の量が全体として減っていく、これが医療脱毛によって起きる変化です。
毛包が減ると肌トラブルも一緒に減るのはなぜか?
ここまで見てきたように、毛嚢炎も埋没毛も、カミソリを使うという行為と、それによって生まれる毛の鋭い断面から始まっています。レーザーで毛包の数と毛の太さが減れば、そもそもカミソリを当てる回数と範囲そのものが一緒に減っていきます。
剃る回数が減れば、毛穴の入り口が傷つく機会もそれだけ減り、残った毛が細くなっていれば、切断面が肌に再び入り込む力も弱まります。太くて硬い針金より細い糸のほうが肌に刺さりにくいのと同じ理屈です。こうした流れで、医療脱毛を受けた後に毛嚢炎や埋没毛が減ったという報告があります。
さらに毛が細くなると、肌同士や肌と衣類がこすれる摩擦も一緒に減ります。ワキや脚の付け根のように服と肌がよく触れる部位は、硬い毛先が触れるたびに肌をわずかに傷つけていますが、毛が細くまばらになれば、こうした摩擦による刺激も自然と少なくなります。
ただし、これは毛包を完全になくす施術ではなく、数を減らして毛を細くする施術だという点ははっきりさせておく必要があります。残っている毛包から生える毛や、ケアが行き届かない部位では、今後もトラブルが起きる可能性があります。
すでに化膿した毛嚢炎があるとき、すぐレーザーを受けてもいいのか?
カミソリでできたブツブツがすでに赤く腫れていたり、化膿していたりする状態なら、そこにそのままレーザーを当てるのはすすめられません。炎症のある肌はすでに熱や刺激に敏感になっているため、そこにレーザーの熱まで加わると、かえって色素沈着や刺激が強くなることがあるとされています。
そのため急性で化膿している炎症は、まず落ち着かせてから施術の予定を組むほうが安全です。カウンセリングの際にこうした状態を先に伝えておけば、施術者がその部位を避けたり、出力を下げて調整したりすることができます。
一方で、慢性的に繰り返す軽いブツブツ程度であれば、多くの場合は大きな支障なく施術を進められるとされています。ただ、今の自分の肌がどちらに近いのかは、実際に肌を見る専門家に判断してもらうのが一番確実です。
医療脱毛は何回受けて、どうケアすればいいのか?
毛は成長期や休止期など複数の段階を巡りながら生えていて、レーザーは色素が濃く入っている成長期の毛に一番よく反応します。施術の時点ですべての毛が成長期にあるわけではないため、一回の施術ですべての毛包に対応するのは難しいのです。そのため4〜6週間の間隔をあけて、6〜8回程度に分けて受ける方法が一般的にすすめられています。
- 部位によって必要な回数は異なります。毛が太く密度の高い部位は比較的多くの回数が必要とされ、個人の毛の色や太さによっても差が出ます。
- 施術と施術の間隔を守る必要があります。毛周期を考えずにあまり頻繁に受けると、まだ休止期にある毛包は反応せず、効率が落ちてしまいます。
- 施術後は紫外線対策が重要です。レーザーで刺激を受けた毛包周辺の肌は一時的に色素変化に敏感になることがあるため、日焼け止めをこまめに塗ることがすすめられます。
- 施術と施術の間は毛抜きやワックスで抜かないようにします。レーザーは毛包の根元に色素が残っていてこそ次の回にも反応できますが、毛抜きやワックスで根元ごと抜いてしまうと、その毛包にはもうレーザーが狙う標的が残りません。反対にカミソリだけで剃っておけば根元はそのまま残るので、次の回も問題なく反応します。
施術後1〜3日間は軽い赤みやピリピリ感が出ることがありますが、たいていは時間の経過とともに落ち着くとされています。この期間はホットタオルや強い角質ケアのような刺激の強いお手入れは避け、やさしい洗顔と保湿を中心に過ごすのが安全です。施術の直前にあらかじめカミソリで剃っておき、当日はローションや化粧品を塗らずに臨むことも、熱が意図しない場所に広がらず毛包へ正確に届くようにする基本的な準備として知られています。
References
Korean Dermatological Association, Ministry of Food and Drug Safety (MFDS), American Academy of Dermatology (AAD), and U.S. Food and Drug Administration (FDA).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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