カーボキシセラピーの効果と仕組み、施術回数と注意点まで
By Dr. Kim1 min read

体の中にわざわざガスを入れると聞くと、少し不思議に感じるかもしれません。ですが、カーボキシセラピーはもともとフランスの温泉療法から始まり、今では脂肪や血行を整える施術として広く定着しています。細い針を使い、皮膚のすぐ下、皮下脂肪の層に医療用の二酸化炭素ガスを少しずつ注入していく方法です。
ここで押さえておきたいのは、二酸化炭素そのものが脂肪を燃やすわけではないということです。二酸化炭素の役割は、体に対して「もっと血の巡りを働かせなさい」という信号を送ることにあります。その信号を受けて血流が増え、増えた血流が酸素や栄養をその部位により多く運ぶことで、脂肪分解や組織の回復に有利な環境が整っていきます。なぜそうした変化が起きるのか、どんな部位にどんな理由で使われるのかを、これから順番に見ていきます。
二酸化炭素を入れるとなぜ血管が広がる?
私たちの体の血管は、その場所の二酸化炭素濃度を常にチェックしています。細胞が活発に働くほど二酸化炭素を多く排出するため、体は二酸化炭素濃度が上がった場所を「酸素が急ぎで必要な場所」と判断します。すると、その部位の血管が自然に広がり、より多くの血液が送られるようになります。工事現場で人手不足の合図が出ると、応援の人員が送り込まれるのと似ています。
カーボキシセラピーは、この反応を人為的に引き出す施術です。注射で二酸化炭素を皮下脂肪層に入れると、その局所的な二酸化炭素濃度が瞬間的に大きく上昇します。体はこれを酸素不足の緊急事態と受け止め、その部位の細い血管を広げて血液をより多く流そうとします。これを血管拡張と呼び、文字通り血管というパイプが太くなり、より多くの血液が通れるようになる状態を指します。
注入された二酸化炭素は、体の中に長くとどまるわけではありません。血液と肺を通じて、たいてい10分から20分ほどで自然に体外へ排出されます。ただ、その短い時間の間に生まれた血流増加の効果は、施術後も2日から3日ほど続きます。つまり、カーボキシセラピーの最初のスイッチはガス自体の働きではなく、ガスが引き起こす血流の増加にあるということを押さえておく必要があります。
増えた血流は脂肪細胞にどう影響する?
脂肪細胞は、もともと血管があまり密に分布していない組織です。そのため、脂肪がたまった部位は、他の組織に比べて血の巡りがやや滞りがちです。巡りが悪いと、脂肪細胞にたまったエネルギーがうまく外へ出ていかず、老廃物の片付けも遅れてしまいます。
カーボキシセラピーで血流が増えると、この流れそのものが変わります。血液がより活発に巡ることで、脂肪細胞のまわりに酸素や栄養が頻繁に届き、脂肪が分解されてできた老廃物もより早く回収されるようになります。水がたまっていた水たまりに、新しく水路を通すようなものだとイメージするとわかりやすいでしょう。水が流れ続ければたまって腐ることが減るように、循環が増えれば脂肪細胞のまわりの環境も滞らなくなります。
さらに、ガスが注入されることで脂肪組織がわずかに膨らみ、押される物理的な刺激も同時に働きます。この刺激が、脂肪細胞の中に蓄えられた脂肪を分解する酵素反応を促すとも報告されています。つまり、化学的なシグナルと物理的な刺激が重なり合って、脂肪分解に有利な条件が作られると理解しておけば十分です。
酸素が増えると脂肪分解が変わる理由
脂肪を、蓄えられたエネルギーから実際に使える形に変える過程を脂肪分解と呼びます。この過程はいくつもの段階を経ますが、その多くが酸素を必要とする反応です。酸素が不足した環境では、この反応の進みが遅くなります。
カーボキシセラピーで血流が増えると、その部位に届く酸素の量も一緒に増えます。増えた酸素は、脂肪分解に必要な燃料をより十分に供給してくれるわけです。加えて、二酸化炭素そのものが、血液中のヘモグロビンが酸素を組織へより渡しやすくするという生理学的な現象も同時に働きます。ヘモグロビンはもともと酸素をつかまえて運ぶ運び屋のような存在ですが、まわりの二酸化炭素濃度が高くなると、つかまえていた酸素をより手放しやすくなります。宅配便のドライバーが、配達先の近くで荷物をより早く下ろすのに似た仕組みです。
結局のところ、増えた血流と増えた酸素供給が組み合わさることで、脂肪細胞にたまった脂肪を分解し排出しやすい条件が整います。ただし、この変化は1回の施術で目に見えて現れるというより、8回から12回ほど重ねながら少しずつ積み重なっていくものです。
セルライトにも効果はある?
セルライトは、皮膚の表面がでこぼこして見える状態で、太ももやお尻にできやすいとされています。原因は一つに絞り込めるものではありませんが、その部位の血行が滞りやすいことと、組織の間の結合構造が脂肪細胞をでこぼこに押し上げることが、あわせて関わっていると考えられています。巡りが悪いと、組織の間に水分や老廃物がたまりやすくなり、これがむくみのように表面をより目立たせてしまいます。
カーボキシセラピーは、まさにこの滞った循環を流していく方向でアプローチします。血流が増えることで、たまっていた水分や老廃物が正常に流れ出る通り道が広がり、その結果として表面のでこぼこがやや和らぐという報告があります。ここに脂肪細胞の体積が減る効果が加われば、表面がなめらかに見えやすくなります。
ただ、セルライトは原因がいくつも重なり合っているため、カーボキシセラピー一つだけで完全になくなることを期待するよりも、循環改善という一つの役割を担うケア方法として捉えておくのが現実的です。

妊娠線改善でコラーゲンを狙う仕組み
ストレッチマークは、皮膚が短い期間に急激に伸びることで、真皮の中のコラーゲン線維が伸びに追いつけずに切れてしまってできる跡です。コラーゲンは皮膚をピンと支える柱のようなたんぱく質で、この柱が切れた部分は、薄く弱い瘢痕組織で埋められます。そのため、ストレッチマークのある部位は、まわりの皮膚に比べて血管が少なく、再生も遅れがちです。
カーボキシセラピーは、この部位にも循環を増やす形でアプローチします。血流が増えると、コラーゲンを新しく作る線維芽細胞に酸素や栄養がより多く届き、この刺激がコラーゲンの生成をある程度後押しすると報告されています。線維芽細胞は、皮膚の柱であるコラーゲンを直接編み出す職人のような存在だと考えるとわかりやすいでしょう。職人に材料とエネルギーが十分供給されれば、作業のスピードが上がるのと同じ理屈です。
その結果、ストレッチマーク特有の薄くくぼんだ質感が8週間から12週間ほどかけて少しずつ埋まり、色も薄くなる方向へ改善するという報告があります。ただし、すでに古くなって白く硬くなったストレッチマークよりも、比較的最近できてまだ赤みや紫がかった色をしているストレッチマークのほうが、反応が出やすい傾向にあります。

部位別の施術回数はどう違う?
カーボキシセラピーは、体の部位ごとに脂肪の厚み、血管の密度、皮膚の敏感さが違うため、同じやり方では進めません。次の3つの理由が、その違いを生み出しています。
- 脂肪の層が厚いお腹や太ももは、ガスが行き渡るべき範囲が広いため、一つの部位でも複数のポイントに分けて注入し、回数も10回から15回ほどとより多く必要になります。脂肪の層が厚いほど、循環改善の効果が全体に行き渡るまでに時間がかかるためです。
- 二重あごや二の腕のように脂肪の層が薄い部位は、比較的少ない量でも反応が早く現れやすい傾向があります。組織が薄いと、注入したガスが広がる範囲の中に、狙った脂肪細胞がより密に含まれているためです。
- セルライトやストレッチマークのような表在性の問題を扱うときは、より浅い深さで、より密な間隔をあけて注入します。問題が起きている場所が真皮とそのすぐ下に集中しているため、その深さに合わせることで循環改善の効果が、まさにその場所に届くからです。
一般的には、1週間から2週間の間隔で8回から12回に分けて受ける方法がよく用いられています。循環改善と脂肪分解は積み重ねの過程であるため、1回の施術よりも繰り返しのほうが結果に大きく関わるとされています。
施術の感覚と注意が必要な人
施術は、細い針を使い、目的の部位の中で1cmから2cmほどの間隔をあけながら、複数のポイントに短時間ずつガスを注入していく形で進みます。注入した直後は、ガスが組織の間に広がるにつれて多少の圧迫感やチクチクとした感覚、そして部位が膨らむような感覚があらわれることがあります。これは二酸化炭素が組織の間の隙間を満たすことで生じる一時的な現象で、ガスが吸収されるにつれて、たいてい10分から30分ほどで落ち着きます。
施術後は、その部位が軽く赤くなったり、あざのようになったりすることもありますが、これは血管が広がり、細かな刺激が加わったことによる自然な反応です。ほとんどの場合、2日から5日ほどで落ち着くとされています。ただし、循環器の疾患や特定の肺の疾患がある場合、妊娠中の場合は、施術を受けるかどうかをあらかじめ医師と相談しておくと安心です。
カーボキシセラピーは、脂肪を一度に大きく減らす施術というよりも、循環をサポートするケアに近いものです。そのため、食生活や運動といった生活面のケアとあわせて行うことで、結果がより安定して続きやすいと報告されています。
References
Korean Dermatological Association, Ministry of Food and Drug Safety (MFDS), American Academy of Dermatology (AAD), and U.S. Food and Drug Administration (FDA).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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