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アルブチンの美白効果、なぜ数週間後にやっと見えるの?

By Dr. Kim1 min read

アルブチンは美白化粧品の成分表でよく見かける名前です。熊の葡萄という意味を持つ植物、ウワウルシ(uva ursi)の葉から最初に見つかった成分なので、この名前が付きました。

ただ、アルブチンは実はそれ自体で色素を消す力が強いわけではありません。肌の中でゆっくり別の物質に変わりながら働くタイプの成分です。その変化した先にある物質こそ、美白成分としてよく知られているhydroquinoneです。アルブチンがなぜこんな回りくどい方法を選んだのか、その理由を順番に見ていきましょう。

色素がたまる過程

肌の色を決める色素はメラニン(melanin)です。メラニンは紫外線が肌の深いところにあるDNAを傷つけないよう守ってくれる、いわば日傘のような役割を果たしています。

メラニンを作る細胞はメラノサイト(melanocyte)と呼ばれています。この細胞の中にはtyrosinaseという酵素があり、この酵素がチロシンというアミノ酸を捕まえてメラニンに変える最初のスイッチを入れます。紫外線を浴びたり炎症が起きたりすると、この酵素の働きが活発になり、その部分に色素が濃く蓄積されていきます。

シミやくすみ、ニキビ跡の色素沈着は、たいていこのtyrosinaseがその場所で特に多く、長く働き続けた結果です。だからこそ美白成分の多くは、この酵素をいかにうまく落ち着かせるかを競い合っているわけです。

アルブチンにはなぜブドウ糖がついている?

アルブチンは化学的に見ると、hydroquinoneにブドウ糖が1分子くっついた形をしています。こうした構造を配糖体(glycoside)と呼びます。砂糖の衣をまとったhydroquinoneだとイメージすると分かりやすいかもしれません。

hydroquinoneはtyrosinaseを強力に抑えるため、美白効果がはっきりしている成分です。ただ、原液のまま使うと肌への刺激が大きく、長期間高濃度で使い続けると、まれにオクロノーシス(ochronosis)という灰青色の着色が起きることがあるという問題も抱えています。

アルブチンは、このhydroquinoneにブドウ糖の衣を着せることで、肌に一気に流れ込まないよう抑え込んだ成分です。そして肌の中にある酵素がこの衣を少しずつはがしていくことで、hydroquinoneがじわじわとにじみ出てくる仕組みになっています。急いで注ぎ込むのではなく、時間をかけて少しずつ流す方法を選んだというわけです。

アルブチンがわざとゆっくり働く仕組み

アルブチンが肌に触れると、肌にあるβ-glucosidase(ベータグルコシダーゼ)という酵素が、ブドウ糖とhydroquinoneをつないでいる結合を少しずつ切っていきます。この酵素は色素を作るtyrosinaseとは別物です。この過程でhydroquinoneがごく少量ずつ作られていきます。

こうして作られるhydroquinoneの量は、原液のhydroquinone製品と比べるとかなり少なめです。そのため刺激は抑えられますが、その分効果が現れるスピードもゆっくりになります。安全性とスピードを引き換えにした結果と言えるでしょう。

さらに、アルブチンがtyrosinaseを抑える方法も少し変わっています。チロシンと構造が似ているため、酵素が本物のチロシンの代わりにアルブチンを捕まえて無駄骨を折る、という形でも作用すると考えられています。鍵穴に合わない偽の鍵を差し込んで、本物の鍵が入る場所をふさいでしまうのと似た仕組みです。

αアルブチンとβアルブチンの違いは?

市販の製品には、アルブチンの前にアルファ、あるいはベータという名前が付いていることがよくあります。両者はブドウ糖がくっつく向きが違うだけの異性体です。

  • ベータアルブチン:ウワウルシなどの植物にもともと存在する自然な形です。β-glucosidaseがこの結合を切るスピードは比較的ゆっくりです。
  • アルファアルブチン:自然界にはほとんど存在せず、多くは酵素反応によって合成されています。tyrosinaseと結びつく力がベータアルブチンより強く、同じ濃度でもより効率よく働くと報告されています。
  • デオキシアルブチン(deoxyarbutin):完全に合成で作られる類似成分で、ブドウ糖の結合がないぶん強く作用しますが、その分安定性について別途議論が必要な成分でもあります。

つまり、製品の成分表に「アルファアルブチン」と書かれていたら、同じ濃度のベータアルブチンよりも少し積極的に働く成分だと理解しておけば大丈夫です。

アルブチンの効果はいつから見える?

アルブチンはゆっくり放出されるタイプなので、効果が出るスピードものんびりしています。毎日きちんと塗っていても、目に見える変化が出るまでには通常4週間から12週間ほどかかると言われています。

この期間が必要な理由は2つあります。1つ目は、アルブチンがhydroquinoneに変わってtyrosinaseを抑えるまでに時間がかかること。2つ目は、すでに肌表面付近に蓄積したメラニンは古い角質が自然にはがれ落ちないと薄くならないため、その角質の入れ替わりサイクル自体が4週間前後かかることです。

そのため、アルブチン製品は2週間程度で判断せず、少なくとも2〜3ヶ月、季節がひとつ変わるくらいのペースで使い続けて初めて変化を実感できます。途中でやめてしまうと酵素が再び活発になり、色素沈着が少しずつ戻ってくることもあります。

アルブチンと一緒に取り入れたいもの

アルブチン自体はhydroquinoneより刺激が少ないほうですが、美白成分を使う間に気をつけるべきことは基本的に変わりません。

  • 紫外線対策は必ず一緒に行いましょう。紫外線がtyrosinaseを再び活性化させてしまうため、日焼け止めをせずにアルブチンだけ塗っても、作られるスピードと抑えるスピードが相殺されて効果を実感しにくくなります。
  • niacinamideやtranexamic acidといった、ほかの美白成分と併用されることも多いです。それぞれメラニンが作られる別の段階に働きかけるため、組み合わせることで互いを補い合う効果が期待できます。
  • retinolのように角質の入れ替わりを助ける成分と併用すると、すでに作られたメラニンが抜けていくスピードが加わり、変化を少し早く感じられることがあります。
  • 使い始めは少量からスタートし、赤みやヒリつきが出ないか数日様子を見ることをおすすめします。人によって肌のバリア状態が違うため、反応の出方にも差があるからです。

使うのをやめると色素は戻る?

アルブチンで薄くなった色素沈着は、使用を完全にやめてしまうと少しずつ元に戻ってしまうことがあります。色素を作るtyrosinaseそのものがなくなったわけではなく、一時的に抑えられていただけだからです。

そのため、目に見える変化が出た後も、紫外線対策とあわせて維持のために使い続けるケースが多く見られます。ただし長期間高濃度で使う製品なら、皮膚科で定期的にチェックを受けておくと安心です。日本では医薬部外品の美白成分として、アルブチンをはじめとする成分の配合には各国の規制上限があり、その範囲内の製品を選んでいれば大きく心配する必要はありません。

結局のところアルブチンは、派手にすばやく色素を消す成分ではなく、安全に長く使えるようスピードをあえて落とした美白成分です。この点を理解して使うと、待っている時間もそれほど窮屈に感じなくなるはずです。

化粧品に配合できるアルブチンの量は国ごとに上限が決められています。EUではベータアルブチンを顔用クリームに最大7%まで、より効率よく働くアルファアルブチンは2%までしか認めていません。日本でも美白有効成分としてアルブチンの配合濃度が管理されており、この範囲内の製品であれば濃度を気にせず使い続けられます。
化粧品に配合できるアルブチンの量は国ごとに上限が決められています。EUではベータアルブチンを顔用クリームに最大7%まで、より効率よく働くアルファアルブチンは2%までしか認めていません。日本でも美白有効成分としてアルブチンの配合濃度が管理されており、この範囲内の製品であれば濃度を気にせず使い続けられます。

References

Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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