アイスピック・ボックス・ローリングに分かれるニキビ跡、種類ごとに治療が変わる理由と対処法
By Dr. Lee1 min read

ニキビがすっかり治まった後も、肌に凹んだ跡が残ることが少なくありません。この跡はよく見ると、形が一つひとつ違います。アイスピックで突いたように狭くて深いもの、四角い盥のように広く平らなもの、波打つようになだらかにへこんでいるものとさまざまです。
こうして形が違うのには、それぞれ理由があります。そして形が違えば跡の内部で起きていることも異なるため、効果的な治療法もタイプごとに違ってきます。
ニキビ跡はなぜ人によって形が違うのか?
ニキビ跡は、炎症がひどく化膿した場所にできます。炎症が深く長く続くほど、肌の中のコラーゲンが大きく傷みます。コラーゲンは肌を支える柱のようなタンパク質です。炎症が強くなると、体の中でこの柱を切り刻む酵素、つまりMMP(matrix metalloproteinase)という物質がたくさん出てきます。名前は難しく感じますが、働きはシンプルです。コラーゲンという柱をちょきちょき切ってしまうハサミだと考えればわかりやすいでしょう。
切られたコラーゲンを体が十分に補えないまま炎症が治まると、その部分がへこんだまま残ってしまいます。ただ、炎症が広がる方向や深さは人によって、そして部位によっても違います。狭く深く化膿したのか、広く浅く広がったのか、それとも肌の下の組織まで紐のように癒着したのか、これによって残る跡の形はまったく変わってきます。だからこそ、跡をひとまとめにせず形ごとに分けて見ることが、治療の第一歩になります。
ニキビ跡が3タイプに分かれる理由
皮膚科では、肌がへこんでできる萎縮性のニキビ跡を大きく3タイプに分けます。アイスピック(ice pick)瘢痕、ボックスカー(boxcar)瘢痕、ローリング(rolling)瘢痕です。
アイスピック瘢痕は、炎症が毛穴に沿って狭くまっすぐ深く入り込んだときにできます。井戸のように狭くて深く、幅が2mm未満のことが多いです。ボックスカー瘢痕は、炎症が横方向にもう少し広く広がり、一定の深さまでコラーゲンを均一に削り取ったときにできます。そのため境界がはっきりとした角ばった形になり、底が平らな盥のような形になります。一方、ローリング瘢痕は炎症そのものよりも、治っていく過程で肌の内部と筋膜の間にできる線維性癒着、つまり細い紐のような組織が原因です。この紐が肌を下へ引っ張るため、波打つようになだらかな凹凸が生じます。
この3タイプはできる経路が違う分、元に戻す方法も異なります。狭く深いトンネルを埋めるべき跡、広い壁と底を均一に整えるべき跡、下から引っ張る紐を切るべき跡では、それぞれ違うアプローチが必要になるわけです。
狭くて深いアイスピック瘢痕、なぜできるのか?
アイスピック瘢痕は、その名の通り尖ったアイスピックで突いたように見えます。毛穴一つを中心に炎症が垂直に深く入り込み、そのトンネルを取り囲むコラーゲンだけが狭く深い範囲で傷んでしまいます。幅は狭いものの、深さは真皮の深い層、ひどい場合はその下の脂肪層近くまで達することもあります。
こうした構造のため、表面だけを整える施術には限界があります。レーザーやピーリングで肌の表面を軽く削っても、トンネルがあまりに狭く深いため底までは届きません。狭い井戸の入り口だけを広げて、底はそのまま残すようなものです。そのためアイスピック瘢痕には、トンネルの奥まで直接刺激を与えて底から新しく満たしていく方法が必要になります。
CROSSがアイスピック瘢痕によく効く理由
CROSS(TCA CROSS)は、局所的に繰り返し行う化学再生施術です。90%から100%とかなり高濃度にしたトリクロロ酢酸(trichloroacetic acid)という酸性の溶液を、爪楊枝や細い綿棒の先にごく少量つけて、跡の底にだけピンポイントで塗布します。広く塗り広げる一般的なピーリングとは違い、ごく狭い一点だけに集中して塗るのがポイントです。
このように塗布すると、その狭いトンネルの中だけで強い化学的ダメージが起こり、周囲の健康な肌にはほとんど影響を与えません。ダメージを受けた部分を体が修復していく過程で、新しいコラーゲンがトンネルの底から満たされていき、跡が少しずつ浅くなっていきます。狭く深いトンネルの奥まで正確に刺激を届けられるという点で、表面だけを整えるレーザーよりもアイスピック瘢痕の原理に合った方法です。通常は2週間から4週間の間隔を空けて3回から6回繰り返しながら、徐々に深さを減らしていくとされています。
角ばってはっきりしたボックスカー瘢痕は何が違うのか?
ボックスカー瘢痕は、上から見ると境界がはっきりとした角ばった形をしているのが特徴です。小さな四角い盥を肌に押し当てたように壁が垂直に立ち、底は平らです。炎症がアイスピック瘢痕よりも横方向に広く広がり、一定の深さまでコラーゲンを均一に削り取ったため、こうした形になります。
深さによって浅いボックスカー瘢痕と深いボックスカー瘢痕に分けることもあります。浅い場合は、肌の表面を均一に整える施術だけでも目に見えて改善することがあります。一方、深い場合は壁と底を一緒に整えてコラーゲンを新しく満たす必要があるため、熱や微細な針で肌の深い層まで刺激を与える施術も併せて必要になります。広い面積を均一に刺激すべき跡という点で、狭い一点だけを扱うアイスピック瘢痕とはアプローチがまったく違います。
なだらかにへこんだローリング瘢痕、サブシジョンが必要な理由
ローリング瘢痕は、他の2タイプとそもそも原因が違います。アイスピックやボックスカー瘢痕は炎症がその場のコラーゲンを直接削り取ってできますが、ローリング瘢痕は跡が治っていく過程で肌の内部とその下の筋膜の間に線維性癒着、つまり細くて丈夫な紐のような組織ができることで生まれます。この紐が肌を下へ引っ張り続けるため、表面に広くなだらかな波状の凹凸が生じます。
この構造では、表面を整える施術はあまり効果がありません。原因が表面ではなく、その下で引っ張っている紐にあるからです。そこでサブシジョンという方法を使います。サブシジョンは、先端が丸く鈍い針や細いチューブ、つまりカニューレを肌の下に入れて、肌を引っ張っている癒着の紐を直接切り離す施術です。紐が切れると、へこんでいた肌がふわりと持ち上がり、この過程で生じるわずかな出血と修復反応が、その部分に新しいコラーゲンを満たす刺激になります。
引っ張る原因そのものを取り除くという点で、サブシジョンはローリング瘢痕において他の施術では代わりにくい役割を果たします。ただし癒着を切るだけで終わるケースは多くなく、その後にボリュームを補ったり表面を整えたりする施術を併用することが多いと報告されています。
跡が混在している場合、治療はどう組み合わせるのか?
実際には、一つの顔に3タイプが混在しているケースのほうがはるかに多いです。そのため治療も一つの施術で終わらせるより、跡ができた原因に合わせて順序を分けて組み合わせる方法が一般的に勧められています。
- 癒着のあるローリング瘢痕が混じっている場合は、サブシジョンを先に検討します。表面を整える前に、下で引っ張っている紐を先にほどいておかないと、その後の施術の効果が十分に出ないからです。
- 壁と底がはっきりしたボックスカー瘢痕がある場合は、熱や微細な針で肌の中のコラーゲンを刺激する施術を加えます。広い面積を均一に整えてこそ、跡の境界がなめらかになるからです。
- 狭くて深いアイスピック瘢痕が残っている場合は、CROSSでそのトンネルだけを個別に仕上げます。他の施術では届かない、狭くて深い底まで直接刺激できる方法だからです。
- へこんだボリューム自体が残っている場合は、最後にフィラーでボリュームを補う方法を加えることもあります。癒着と表面を先に整理してから補ったほうが、結果がより安定して維持されるとされています。
コラーゲンが新しく定着するまでには、4週間から6か月かかります。そのため一度の施術ですぐに結果を判断するより、4週間から8週間ほどの間隔を空けて3回から5回に分けて進めるのが自然な流れです。何より最初にすべきことは、鏡で自分の跡がどのタイプに近いかを見極め、それに合った施術を知る専門医に相談して順序を決めることです。
References
Korean Dermatological Association, Ministry of Food and Drug Safety (MFDS), American Academy of Dermatology (AAD), and U.S. Food and Drug Administration (FDA).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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